第156回  03年3月12日  義務教育費国庫負担法の一部改正について 
文部科学

 

○藤村委員

 おはようございます。民主党の藤村修でございます。

 きょうは、義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案が議題になりましたので、この点につきまして、種々、文部大臣、副大臣ほかにお尋ねをしてまいりたいと思います。

 その前に、ちょっと冒頭に一件だけ、今の文部行政に大変重要な教育基本法あるいは教育振興基本計画などを中央教育審議会、いわゆる中教審で検討をいただいていること、このことに敬意を表しますとともに、この中の委員の問題が先般参議院の予算委員会でも一部取り上げられましたが、衆議院においてこれが初めての機会かと思いますので、同僚委員の皆様方に一つ、これでいいのかということだけを提起したいと思います。

 すなわち、現在開催されております中教審の、もう三月、来週には答申というところに差しかかっているようでございますが、この重要な教育基本の問題を考えている委員会に、先日まで文部科学省事務次官であった小野元之さん、この方が、一月末に退官をしてもう二月早々からこの中教審の臨時委員に、これは文科大臣が任命をされるということでございますが、就任をされている。

 私は、小野前事務次官、大変有能な見識の高い、そして教育行政に通暁した立派な方だと思います。だれもがやはりそういう方に審議に加わってもらいたいと思う気持ちもわからないではない。ただしかし、この小野次官が、遠山文科大臣のもとで事務方のトップとしてこの件を中教審に諮問した側でございます。つまり、この問題はいかがですかと中教審に対して投げかけた、その側の事務方のトップ、小野前事務次官が、次官を退官するや否や、臨時委員ではございますが、今度はその中教審の委員で、いわゆる答申をつくる側に立ってすぐ審議に加わっているというのはいかがなものかと思いますが、これはなぜこうなったのか、簡単に説明願いたいと思います。

○遠山国務大臣

 中央教育審議会の臨時委員につきましては、特定の事項に関して学識経験のある者のうちから大臣が任命するということとなっているわけでございます。

 御指摘の小野臨時委員は、委員のお話にもございましたように、長年文部科学行政に携わってまいりまして、教育基本法を初めとする教育行政に通暁しているわけでございまして、中央教育審議会の審議の状況についても熟知をしているものでございます。一月十日に退官をいたしまして、事務次官としての役割としては諮問した側にあったわけでございますけれども、本人の持っている属人的な専門的かつ高い識見からの意見を継続的に聞きたいということで、二月一日付で任命したところでございます。

 審議会等の運営に関する指針におきまして、府省出身者の審議会の通常委員への選任については厳に抑制することとされておりますけれども、属人的にその者の専門的知識経験から必要な場合は、これは認められているわけでございます。しかも、それは正委員についてでございますし、臨時委員についてはその規定は当たらないわけでございます。

 もちろん、私も、通常の場合にはその決まりの精神を遵守するという精神でいくべきと考えておりますけれども、今般、小野氏の場合には、高度な専門的な知識経験ということにかんがみまして、任命をいたしたところでございます。

○藤村委員

 経緯はそういうことであったと。

 ただ、例えば我々の政党組織であっても、今私の隣に前代表もおりますが、いろいろな人事をするときに、この人は本当に適材適所で、大変この人を引っ張ってきたいというポストがあったときに、しかし、たまたま今、国会の特別委員会の委員長をやっている、委員長というのは中立的な立場で云々となれば、欲しい人材であっても、そこはやはり遠慮をするといいますか、次の機会にと考えるのが一般的であり、今文科大臣御紹介がありましたとおり、運営に関する指針で、府省出身の審議会委員への任命は厳に抑制するなどという指針がある以上、これはこのたびの人事はいかがなものか。

 調べていただきましたら、文科省長い歴史の中で、あるいは中教審、戦後から始まった長い歴史の中で、他に似たケースが一件だけありました。

 これは、昭和三十七年、当時、内藤誉三郎事務次官が次官に就任し、それから二年半で昭和三十九年七月に退官をされた。そのときに、実は事務次官在任中に「後期中等教育の拡充整備について」という諮問を行った当時の事務次官、この方が退官をして、実はすぐに、七月一日退官で七月七日、一週間後には今度はその答申を検討する側の中教審、専門委員でありますが、就任をされて、約一年審議をされた。ただ、この場合も、一年審議をされたんですが、最終的にこの諮問に対する答申が出たのはまだその先でした。その先一年以降でしたので、答申のときにはもう現には存在しなかった、専門委員でありますが、そういうことでございます。これ一件だけ、一生懸命調べていただいたので多分ほかにないんでしょう。

 小野さんが有能で見識があり、そして文部行政に通暁している、この点は認めます。その上で、いや、法律に反していないし、指針にも反していない、特別にはいいんだと書いてあるからいいんだというのは、いわゆる日本の教育行政のトップである遠山大臣の言にしては私はちょっといかがなものかと思います。

 河村副大臣の御意見もお伺いしたいと存じます。

○河村副大臣

 御案内のように、中央教育審議会、今大詰めを迎えておりまして、最終取りまとめをいただいているというところでございます。私も副大臣として中教審にも出させていただいて、その中に前事務次官が臨時委員として入られたということ、私は、この中教審の議論を最終的にお取りまとめをいただきたいという、大臣と一体でありますから、お願いをした立場から見れば、全体的な観点からこの取りまとめにお力をおかしいただける方が入られたということを感じたわけでございますが、行革等々、また公務員のあり方等々言われているときに、すぐ天下りの問題等も言われますが、そうした中でどうかと言われると、まあ、このタイミングは余りにも早過ぎたかなという思いが私もしないわけではありません。

 しかし、考えてみて、私の率直な意見を申し上げますと、これ以上のありがたい人はないと思いましたから、また、小野さんがこれまでやってこられた行政というものは、非常に公正にやっておられたと私は知っておりますから、そういう視点から、まさに適切なといいますか、日本の将来を考えた教育はこうあるべきだというお取りまとめを後ろから臨時委員としてしっかり支えていただける、得がたい人である、このような印象を持っておるわけでございます。

○藤村委員

 得がたい人であり、本当になくてはならない人である、だから任用したというのではお手軽過ぎると思います。

 中教審の審議会令によりますと、「委員は、学識経験のある者のうちから、文部科学大臣が任命する。」ということでありまして、特に、それはできるだけ民間の方の意見を広く集めるという趣旨も当然あるわけでございます。それが、この前まで文部科学省事務次官をやっておって、諮問をした事務方の責任者で、その人が今度は答申する側にすぐ回ってというのは、得がたい人材という、つまり属人的なことを今言っているのではなくて、やはりそういう肩書のある方をすぐに文部科学大臣が、いや、あの人はすばらしいからということだけの観点で選んではいけない。

 特に文部科学行政のトップに立つ大臣が、これは地方の教育委員会の人事とか、いろいろ全部その人たちは見ているわけであります。中教審の委員というのは、できるだけ民間から、そして学識経験のある者のうちからということであります。学識経験のある人はいっぱいいると思うんですよね。だから、それはやはりこういう人事をされたことは、特に教育をつかさどる文科大臣としては私はちょっと納得できない。最終答申が出るのはまだ来週のようでありますから、きょうにでも臨時委員をやめさせた方がいいんじゃないかな、そのことだけを申しておきまして、次の本題に入っていきたいと存じます。

 さて、今審議されようとしているのは義務教育費国庫負担法関係のことでございますが、この法律を審議するには常にやはり原点を確認しないといけない、このように思います。すなわち、憲法で、義務教育は保障され、そして無償である、こういうふうにされているわけであります。これは、さっき話題にしました中教審でも相当深く今、特に基本法の問題をやっているものですから、検討されているように聞こえます。

 この憲法の規定でありますが、この規定の主語は、「すべて国民は、」こういう主語でございます。これは発足当時、ですから昭和の二十二、三年ですか、のことでありまして、今この国際化時代の中で、日本の国内にはたくさんの外国人も住んでいるし、その子弟が教育も受けている。もちろん税金も払っているわけであります。となると、この「すべて国民は、」という主語のもとに今の保障されている、無償であるなどということは、実際、しかし運用は違うと思うんです。

 在留外国人の子女について、現在これはどういうふうな解釈のもとでの義務教育があるのか、この点をお答え願いたいと存じます。

○河村副大臣

 委員御指摘のとおり、日本国憲法の第二十六条に、「すべて国民は、」こうなっておりまして、法律の定めるところによって、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有して、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う、こう定めてあるわけでございまして、そして、義務教育は無償とする、こうなっておることは御存じのとおりでございます。

 そこで、ここで言う国民ということに対する解釈は、日本国籍を有する者である、こういう解釈でありますから、日本国内に居住する外国人について、その子女を就学させる義務を負うものではない、このように解しておるところでございます。しかしながら、我が国が批准をしております経済的、社会的、文化的権利に関する条約、いわゆる国際人権規約Aでございますが、それと、児童の権利に関する条約等に基づきますと、希望する外国人子女に対しては無償の義務教育の機会を保障することがこれによって求められておるということでございますから、我が省としても、各市町村の教育委員会に対しましては、外国人子女の就学の機会を確保するという観点から、希望する外国人子女の受け入れにつきましては日本子女と同様に公立の小中学校へということを指導いたしておるところでございます。

○藤村委員

 人権条約とか子どもの権利条約などの関連でそのように図っているということでございました。

 そして、義務教育は、今度は教育基本法によりまして、いわゆる保護者に対してその子女に九年間の普通教育を受けさせる義務を課している。この規定も主語はやはり「国民は、」でございます。そうすると、今の御説明では、では外国人籍の子女に対しては、これはその保護者に対しての義務はない、このように考えてよろしいんでしょうか。

○河村副大臣

 これも憲法の精神にのっとって、教育基本法がそこのところ、あるわけでございまして、「国民は、その保護する子女に、」ということでありますから、国内に居住する外国人については、先ほども申し上げましたように、就学させる義務は負わないということでありまして、外国人の子女の方々に対しては希望によってということになっておるわけでございます。

 しかし、それはやはり周知徹底されなきゃいけないことでありますから、その時期の方々に対しては、こういう形で公立の義務小学校は、入学を希望されれば我々はきちっと受け入れますということの就学案内をきちっと出すようにということを、市町村教育委員会に指導いたしておるところであります。

○藤村委員

 河村副大臣もよく御存じのブラジルの日系の方々が今たくさん日本に出稼ぎという形で来られている。三十万人と言われております。この子弟がやはり日本の学校に行っているけれども、いろいろな問題がある。これはこれで対応をしないといけないんです。大ざっぱな数字でいいますと、義務教育段階で学校に通う人が三割ぐらいしかいないそうであります。そして、十八歳ぐらいになって、結局学校にも何も行かないような状況で、少年院にいる数がまた非常に多いという現実がございます。そういう意味では、教育基本法のことが審議されている中でも、今取り上げました「国民は、」というこの主語のことは、河村副大臣もメンバーにいつも参加されているようでありますから提起されているかもしれませんが、この辺の検討はぜひ加えていただきたいと希望を申し上げたいと思います。

 さて、これはいつも毎回多分確認をしていることだと思いますが、義務教育について、憲法や教育基本法にのっとって国が担う基本的な責任とは何と何と何か、幾つか基本的な部分をまず確認したいと思います。

○河村副大臣

 義務教育について、一番の根幹は、国が憲法及び教育基本法にのっとって全国どこでもあまねく一定水準の教育を無償で受けられるようにする、このことが国としての重要な責務であるというふうに考えておるところでございます。

 この義務教育の実施主体というのは市町村、いわゆる地方公共団体でございまして、今地方公共団体との役割分担も問われているところでございますが、国としては、まずは教育制度の枠組みの制定といいますか、いわゆる教育制度の根幹にかかわる問題の制定の部分、それから学校の設置基準であるとか学習指導要領等の基準の設定、それから義務教育費の国庫負担制度等の地方公共団体に対する財政支援をすること。一が教育制度の枠組みの問題、二が学校の設置基準あるいは学習指導要領の基準の設定の問題、第三が今の財政支援の問題、もう一個、四番目としては、学校の管理運営に対する指導、助言、援助ということが、国として、全国的な、まさに申し上げた、全国あまねく一定水準の標準の教育が無償で受けられるという制度を堅持する上から、さらに教育の機会均等ということも踏まえながら、この基本的な認識の上に立って教育の推進を図っておるということでございます。

 これからも、国として果たすべき役割というものはきちっと堅持して、その役割を果たしていかなければならない、このように考えております。

○藤村委員

 原点に戻り、国としての役割を確認していただいたところでありますが、今回の法改正は、今おっしゃった三番目の財政的な部分に当たると思います。その部分について一部改正をしようという案件だと思いますが、そもそもの経緯というのは、これは確かに割に長い問題を抱えて議論してきたことではありますが、今回の法改正に直接つながるのは、多分、昨年の五月二十一日でしたか、経済財政諮問会議において、これは「総務省は」という主語になっていますが、「地方財政の構造改革と税源移譲について」の試案を公表し、そして一に「国から地方への税源移譲等により国税と地方税の比率を一対一とすること」、二に「その際の税源移譲に伴う五兆五千億円の原資については、国庫支出金の縮減により捻出することを提案」と。これを受けて、義務教育費国庫負担金に手をつけないわけにはいかないという発言を総務大臣会見などでもされている。ここが今回の直接的な発端ではないかと思います。

 そこで、今回の発端、経緯から見ますと、国と地方の税源を、国税、地方税の比率を一対一とする、今は多分国が二、地方が一、それを大ざっぱに言いますと一対一までにするんだ、その目標はそれは了としても、その際に、税源移譲に伴う五兆五千億円の原資というのを今までの国庫支出金の縮減で捻出ということでありました。 五兆五千億円というのは大変大きな額であります。今回、この義務教育費国庫負担関係では二千三百億円弱ですね。五兆幾らからするとほんのわずかではございますが、その他の部分はどういうふうに、他の省庁を含めて、いわゆる国庫支出金の縮減がなされているんでしょうか。文部科学省としてどのように認識しているんですか。

○河村副大臣

 委員の御指摘のとおり、片山大臣の方からといいますか、総務省の「地方財政の構造改革と税源移譲について」という試案が出されて、そういう方針が打ち出されたわけでございます。これは五月二十一日だったんですが、これに基づいて六月二十五日に閣議決定をいたしたものが、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二というものであります。

 この方針によりますと、国庫補助負担金と地方交付税と税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討して、本年の六月までに改革案をまとめる、こうなっておるわけでございまして、その際に、国庫補助負担金を「改革と展望」の期間中の平成十八年度までに数兆円規模で削減を目指す、こういうふうになっておるわけでございます。

 今回、この国庫補助負担金の整理合理化をどのように進めていくかということについては、これは三位一体の改革の一環として政府全体として検討をいただくということになっておりまして、文部科学省としては、この義務教育費国庫負担金が、必要な見直しをやりながら、さらに、これはそうした財源論だけではなくて教育論としてもきちっと議論をしなきゃいかぬということをこれまでも言ってきたわけでございます。

 そうした観点で、今回、義務教育費国庫負担金の部分に対する二千二百億でございますが、今回はその三位一体の中の一つの芽出しといいますか、頭出しとして、総額で五千六百億が削減をされる方向、今回法案にもなっておるわけでございますが、そうなっております。文部科学省の義務教育費国庫負担金二千二百億、ほかに公共事業関係の補助金の負担金を二千六百億、それから奨励的補助金の削減というのが一千九百億ございます。これは一部文部科学省の中にも含まれておると思うわけでございますが、さらに社会保障関係費の補助金も百六十億あって、これが五千六百億という形でございます。

 これは今後、今委員も御指摘ありました税源移譲の問題が当然入ってこないと本格的な縮減にはつながっていかないだろう、こう思っておるところでございまして、国全体でこの問題を、三位一体の中で政府全体として考えていく課題である、このように我が省としては認識をいたしておるところであります。

○藤村委員

 最後の方でおっしゃった、税源移譲が伴わないとということだろうと思います。しかし、今、伴わない中で、二千二百数十億ですか、文科省が芽出しだといっていち早く決めてしまうのはどういうことか。これは、遠山文科大臣も相当頑張ったとは聞いておりますが、どうも他省庁に比べて、教育という本当は最も投資が必要なあるいは国にとって重要な部分を、何か一つのモデルにしてしまっているような印象がぬぐえないのでございます。

 このことはもう幾つか多分言われていると思いますので、ちょっと次に行きます。

 そこで、義務教育費国庫負担の制度自体はそもそも、さっき副大臣もおっしゃった教育の機会均等、日本の隅々までちゃんと、いわゆるナショナルミニマムというんですか、そういうものが達成されるということであろうと思いますが、一九七九年に発行された「ジャパン・アズ・ナンバーワン」、これは結構たくさん売れた本で、たまたま私どもの広中和歌子参議院議員が翻訳をしておりますが、エズラ・ボーゲルですか、あの当時に、日本の特に義務教育が非常に世界的に水準が高いとか良質であるとかいうことを褒められていたわけです、高等教育は大分けなされたんですが。

 その当時、つまり、今からいうともう二十年以上前の義務教育レベル、非常に水準の高さを言われておりました。それから二十年あるいは四半世紀、二十五年ぐらいたった今日、これは地方分権推進会議の「事務・事業の在り方に関する意見」の中で述べられているかと思いますが、教育について、国の責務として国民への最低保障は先進国並みに達成されたとしている。ここへ来て達成されたとしているんですが、むしろ二十年前、二十五年前はもっとよかったんじゃないかと思うんです。

 今から四半世紀前と比べて、果たしてよくなっているんだろうかということを考えるとき、例えば学級編制四十人というのは、これは例の三十人学級の議論で相当たくさんやりましたが、世界水準と言っていいんでしょうか。あるいは、今地方の公共建物は非常にきれいになったりしておりますが、どうも学校がこのところ一番汚いんじゃないか。建てかえ時期に差しかかっているのが相当あるわけですけれども、トイレなんかの問題はいつも取り上げられます。これは果たして、ナショナルミニマム、つまり最低保障として先進国並みに達成されたと言えるんでしょうか。御感想を聞きたいと思います。

○遠山国務大臣

 エズラ・ボーゲルさんは私の友人でございまして、あの本が出たときは大変衝撃的でございました。

 あそこで明らかにされたことは、日本の義務教育の水準は極めて高い、均質的である、それから国が学習指導要領というものを定めて一定水準を保障している等々の、日本の成長の秘密のようなものが明かされたと思います。それをもって諸外国は日本の義務教育システムというものを猛勉強されて、あのアメリカにおいてもイギリスにおいても、さまざまな点で日本の義務教育のいい点を導入され始めていると思います。その面でいえば、日本はその後そういう水準を維持してまいっておりますが、各国が非常に伸びてきている、そういう段階において、日本の義務教育というのは今のままでいいのか、あるいは今で十分世界水準のトップを走っているかといいますと、私は、必ずしもそう油断していてはよくないという面があると思います。

 ただ、今委員が御指摘になりました四十人一クラスの標準の件でございますが、クラス編制の標準の数というのは四十でございますけれども、教員一人当たりの児童生徒数の比較でいきますと、今やっております第七次の定数改善が達成されました後には小学校が十八・六人でございまして、アメリカ、ドイツと並ぶ、あるいはそれより若干よくなるわけでございます。それから、中学校につきましても、一人当たり十四・六人でございまして、これはアメリカと同じ、ドイツよりはよくなるということでございます。クラスの標準という数値にとらわれますといろいろな議論もあるわけでございますけれども、そういうふうに次第次第に、私どもとしても義務教育の充実について力を注いでいるわけでございます。

 同時に、委員も御指摘になりましたように、国民の生活水準も大変上がってまいっておりますし、各国における義務教育のいろいろな面での条件整備も整っている中で、これで本当に日本がいいかとなりますと、ナショナルミニマムのスタンダードというのは時代によって向上していくわけでございまして、その意味では、地方分権推進会議の一つの考え方というのは必ずしも、私はもう少しよく精査した上で述べられるべきものというふうに考えております。

○藤村委員

 ですから、達成されたとするには最もおぼつかないと思われるのは、やはり教育に対する公共の支出というんでしょうか、国や地方ですね、これが、特に今初等中等教育段階においても、日本は決して欧米先進国並みにと誇れるような数字ではない。いわゆるOECDの比較、これは九九年文部省資料もありますが、必ずしも全体として、日本の初等中等教育に対する公的支出が、他の先進国よりうんと高いというよりは、むしろ平均より低いわけでありますから、ここが基本になって、それでナショナルミニマムが先進国並みに達成されたと見るのは、私はちょっと誤解があると思いますので、ここはそういう主張をぜひ大臣も引き続きしていただかないと、現に、あの学校の環境からすると、今や本当に地方の公共建物が非常にきれいになっているのに、学校だけはまだ残されているな、そういう思いはそれぞれ実感されていると思います。

 そこで、具体的な法案の中身について一部伺います。

 今回は、公務災害補償基金負担金等というところと、それから共済費長期給付、これが大きいんですが、この部分についての一般財源化を意図している。過去にも旅費や教材費等、幾つか一般財源化をされてきた歴史がございます。これが一般財源化されて、ちゃんと旅費や教材費が措置されているのか。この現状はいかがでございましょうか。

○矢野政府参考人

 過去に一般財源化されました旅費、教材費等についての実際の予算措置状況はどうかというお尋ねでございますが、まず、旅費につきましては、一般財源化されました昭和六十年度以降、支給実績を踏まえた交付税単価により積算していることから、必要な地方交付税措置が行われ、おおむね措置額に見合う予算が確保されているところでございます。

 また、教材費でございますが、教材費につきましては、昭和六十年度以降、実績を踏まえた交付税措置が行われているところでございますけれども、直近の調査、直近のデータによりますと、平成十二年度交付税措置に対する地方公共団体における予算措置状況は、約九割という状況になってございます。

○藤村委員

 旅費の方がおおむね、教材費の方が九割ということで、一般財源化することは、すなわちそれよりは下がる、さっきのナショナルミニマム論ではありませんが、下がるわけであります。ですから、一般財源化ということに対してやはり相当慎重に考えないといけない。これは実態が下がっているわけですね、過去の例でいいますと。

 そういうことではありますが、今回の一般財源化、地方財源措置をとられている。これは総務省になるんだと思うんですが、財務と総務の申し合わせか何かで、平成十五年度限りの暫定措置というふうにされておりますが、十六年度以降いかなる対応を今検討しているのか、お知らせいただきたいと思います。

○林政府参考人

 お答えを申し上げます。

 今回の一般財源化に当たりまして、地方財源を確保する必要があったわけであります。今回、義務教育費国庫負担金の一部につきまして一般財源化されることとなったわけでありますが、地方団体におきましては引き続き当該部分につきましての財源を確保する必要があるということで、御案内と思いますけれども、二分の一は地方特例交付金によりまして、残りの二分の一につきましては地方交付税の増額によりまして、地方団体が必要とする財源を完全に補てんする、こういう措置をとったわけであります。

 ただ、今回のスキームは、当面、平成十五年度の芽出しに係る暫定措置として設定をさせていただきました。今回、一般財源化することとした共済長期負担金等につきましては、平成十六年度以降もこのスキームにより財源措置を講ずることを予定いたしているところでございます。

 ただ、先ほど副大臣の方からお話がございましたが、今後、三位一体改革の中で相当規模の国庫補助負担金の見直しを行うこととされておりまして、その趣旨は、地方に対する国の関与を縮小し、地方の権限と責任を拡大しながら、地方の自立的な財政運営を保障するような、国と地方のあり方を見直していこう、こういう趣旨で行われるものでございまして、十六年度以降におきましても国庫補助負担金の見直しが行われることになっているわけでありますが、そういう場合の財源措置につきましても、この基本方針に沿って改めて関係省庁間で協議して定めることとなるものではありますが、総務省といたしましては、今回のスキームが、今後の三位一体改革の中で、国庫補助負担金の廃止、縮減に関連して税源移譲が行われるまでの間の基本的な考え方になるものと考えているところであります。

 今後、このような措置を十六年度以降も講じながら、この規模が相当程度に達し、国、地方を通じた税制の議論を行えるようになりました時点で、税源移譲を含む税財源配分の見直しにつなげてまいる、それまでの間の暫定措置と考えているところでございます。

○藤村委員

 では、今おっしゃったのは、この義務教育費国庫負担制度だけでなくて、その他のそれぞれの役所の国庫負担金などの縮減に当たってこの仕組みを当面とっていこうと。

 この仕組みというのは、実は、今ちょっときちっと述べられなかった点は、今回、一般財源化の影響対象額は二千三百億円とすれば、それをちょうど半分半分にして、片っ方は地方特例交付金、片っ方は地方交付税、その地方交付税の方の部分について、金がないからという理由かもしれませんが、交付税特会からの借り入れを、国が四分の三、地方が四分の一。ということは、全体の八分の一が、実は地方の借金に残るという仕組みであります。つまり、八分の七は国が手当てして、八分の一は地方の借金に残していく、五年後から返済が始まるような。

 地方にこうして借金を残させる仕組みを、この件以外に他の全体にまたがってやろう、そういうことでよろしいんですか、今の御説明は。

○林政府参考人

 今後見直しが行われます国庫補助負担金の一般財源化に伴います財源措置のスキームとしては、義務教育費国庫負担金の見直しのみならず、他の分野におきます補助負担金の見直しにつきましても、私、先ほど申し上げました基本的な考え方を踏襲しながら、総務省としては対応してまいりたいと考えているところであります。

 なお、御指摘いただきました財源措置のスキームでありますが、二分の一は地方特例交付金により、残の二分の一につきましては、当面、交付税特別会計におきます借入金によりまして十分の十の財源を確保することといたしておりますが、その交付税特別会計におきます借入金の元利償還時におきまして、その四分の三は国が負担をするということにいたしております。

 したがいまして、御指摘ございましたように、トータルいたしますと、国が今回の財源措置に伴います地方の負担分につきまして八分の七を措置し、八分の一につきましては地方団体が将来元利償還時に負担していく、こういうことになるわけでありますが、これは先ほども申し上げましたが、三位一体改革の中で、税財源移譲等による財源措置が講じられるまでの間のつなぎとして暫定的に講ずることとした措置であり、やむを得ないものと考えているところでございます。

○藤村委員

 三位一体はまだ単なる標語で、見出しでありますから、実現するかどうかわからないというところで言っているかもしれませんが。  もう時間がないので、一つだけ、最後に遠山文部科学大臣にお伺いします。

 経済財政諮問会議に提出された「見直しについて」の中で、義務教育費国庫負担制度の対象経費は「国が真に負担すべきものに限定」とされています。ですから、まだ今から見直しをするという姿勢で、基本的考え方は「国が真に負担すべきものに限定」としている。この「真に負担すべき」ということを少し解説をしておいていただきたいことと、しかし、国が真に負担するべきものは今までの二分の一国庫というものを堅持する、そういう考えがおありになることを必ず述べておいていただきたいと思います。

○遠山国務大臣

 義務教育費国庫負担制度そのものは見直しすべき点があるということで今回取り組んだわけでございますけれども、国が負担すべきものとしては教職員の給与費ということでございまして、これはしっかり堅持をするとともに、二分の一国庫負担ということも、私としては、その負担制度の目的に照らして、今後ともしっかりとやっていくべきものと考えております。

 対象経費につきましては、私としては、今維持をしているものは当然やるべきものだと考えておりますが、三大臣合意という件もあります。ただ、考え方としては、教職員の給与費については、しっかりと守っていくということは考えているわけでございます。

 制度そのものにつきまして、地方分権という角度からは、負担金を国が負担をするということでありますよりも、むしろ義務教育のさまざまな各地域における展開が弾力的になるように、そういった面の制度化、地方分権化ということについて大いに今回も協力をしているわけでございます。そのような姿勢でやっていきたいというふうに考えております。

○藤村委員

 終わります。

 

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