第156回  03年4月16日  国立大学法人法案と他関連法案について(1回目の質問)
文部科学

 

○藤村委員

 民主党の藤村修でございます。

 このたび審査にかかっております六つの法案、それぞれが大変大きなもので、かつ、さっきからおっしゃっているとおり、明治そして戦後の新制国立大学、それに次ぐ三つ目の大きな波で、まさに国家百年の計を方向づけようという意味では、六つ一括審査はなかなか難しいので、私はきょうは、国立大学法人法案、この主たる法案のみ、なおかつ、さらに、これもまた読み出したり考え出したりしますと大変膨大な中身がありますので、ほんの一つの切り口をもって質問をしたい。つまり、人、物、金、情報とよく言われますが、その金というところに一つ切り口をもって、以下、短い時間ですので、割にとんとんと答えていっていただきながら、問題点を明らかにしたいと思います。

 しかし、その前に、一番のそもそも論はやはり一回はやっておかないといけない。

 明治の旧帝国大学ができて、それから大正に大学令などができて、私立大学なども入った大学というものの像が大体固まってきた。そして戦後に大きな、これは現在につながる新制の国立大学制度が、国立学校設置法などとともにできた。

 明治の旧帝大の当初の帝国大学令などというのがありまして、ここに、「大学ハ国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ及其蘊奥ヲ攷究スルヲ以テ目的トス」と、大学とは何かみたいな、非常に難しい言葉でありますが、書いてある。次に、これは若干、私立大学などができるとき、大学令、大正七年に一部書きかえられましたが、基本的には同じようなことであります。それから、その後においては、戦後、実はもう学校教育法において、「大学」ということで、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」書いてある前半三分の二ぐらいまでは過去ずっと大体同じことを書いてありますから、そうなんだと思います。今回も、それが当然ベースにある。

 しかし、私は、この際ここではっきりしていただきたいのが、大学には大きく言えば私立大学と国立大学があります。国立大学というのは、国費が私学助成とはけた違いにそれぞれに投入されている。であるからには、これは、国民の側、税金を払う側からすれば、その税金の使い道という考え方からすれば、数百の私学に私学助成を出すけた違いの額を百以下の国立大学に出すわけですから、いわば、まさに国として出すその理由というか、そういうものが当然必要なわけであります。

 つまり、大学全般的にどうだということよりは、このたび、特にこの国立大学を法人化するというときにおいて、国として、国立大学というのは一体何なのか、何を目的として、あるいは国として何を期待するのか、そのことが実はどこにも書いていないんですね。今回、法律の目的は、その法人をつくり、大学を設置すると書いてあるだけです。

 では、そもそも国立大学というのは、日本の今後の高等教育の中で、国がどのように位置づけ、国立大学に対してどのような期待をし、どのようなビジョンを持ってなされるものか、このことを先にお尋ねしたいと思います。

○遠山国務大臣

 大学は、国公私立ともに、すぐれた教育研究ないし社会貢献などをやっていただくという面ではもちろん共通した面が多いわけでございますけれども、国立大学は、今委員がおっしゃいましたように、長い発展の歴史を持ち、しかも、日本の大学の中では比率としてそれほど大きくないわけでございますが、この果たす役割といいますものは、国にとって、国民にとって、あるいは世界の知のレベルアップにとって非常に重要な役割を果たしてきておりますし、また今後もそうであるべきだと私は考えております

。  一つには、学術研究におけるすぐれた成果を上げていく。そして、それに負けず劣らず大事なことは、すぐれた人材を養成していく、それは研究者のみならず、社会の重要な場面で活躍し得る人材を形成していくこと。そして同時に、国立大学は全国に展開をいたしておりますので、全国的に均衡のとれた配置によりまして、地域の教育、文化あるいは産業の基盤を支えて、学生が経済状況に左右されないで進学できる機会を提供すること、あるいは地域の産業界と連携をして社会貢献に尽くしていくことなどの非常に大事な使命があると思います。 こういったものは新たな法人、国立大学法人になっても変わらない役割だと思いますし、むしろ、法人化によってそうした機能をさらに強化していく、さらに発展させていくというのがねらいであるというふうに考えております。

○藤村委員

 今の話は、一般の大学も通用するんじゃないですか。私立大学も全国津々浦々にあるし、それぞれの目的は先ほどの学教法に定められたことですから。では、特に国立大学にこれだけの国費を投じて、国立大学として存在してきたわけですが、国立大学に対しては、こういうものだというのは何かないんですか。つまり、私立大学は、それは大学全般の、さっきの学教法での目的でいいと思うんですけれども、では、国立大学というのはこういうものだというのはないんですか。

○遠山国務大臣

 先ほども申し上げたつもりでおりますけれども、より明確に申しますと、例えば研究者養成という面で考えますと、国立大学につきましては、私立大学に比べまして大学院教育のウエートが高いわけでございまして、具体的には、大学院修士課程の学生の五八%、博士課程の七〇%を国立で担っているわけでございまして、その意味で、大学院教育の充実によって、将来日本を支えていく枢要な面の人材供給という役割が一つございます。

 さらに言えば、学術研究のこれまでの蓄積、あるいは、例えばノーベル賞受賞につながるような、あるいはノーベル賞に準ずるような賞をもらっている方も国立大学関係者でさまざまに出ているわけでございますが、そういったすぐれた学、すぐれた知、それを発展させていく意味におきまして、これは国費の投入というものがあったればこそできる面もあるわけでございますが、すぐれた人材を集めた上でそういったものを開花させていく、私は、そのことが国立大学にとって非常に大事な役割であると考えております。

 同時に、各地における、地方に存在をしている大学といいますものは、学生が集められるとか、そこで人気を得てというようなことではなくて、それぞれの地元における人材養成、ないし、先ほど申したようないろいろな機能を果たしている。

 その面において、私は、国立大学の使命というものは、学術研究そして人材養成、地域への貢献という意味で、他の設置形態によるものとは一味違う内容のものを、これからもその機能を発揮してもらうということに国立大学の意義、役割があるというふうに考えております。

○藤村委員

 今おっしゃったのは、教育の分野でもあるいは研究の分野でも、大学の中でも特にぬきんでて、それは国費をそれだけ投入しているからだと。それは現象としてそうなんですが、やはり国として、国立大学はどうあるべきと言うと大学の自治などと若干のそごが生じますが、しかし、税金を払う国民の側からいえば、その税金が有効に使われるということは重要であります。つまり、国の意思というのがないといけないと思うんです。

 つまり、私立大学はそれぞれ私学の建学の精神があって、それぞれいろいろな目的を持ってやっている。一方、国立大学は、私は、はっきり言ってしまえば、やはりこれは国益にかなうということが基本的になければならないと思うんですね。しかし、その上で、大学がそれぞれ学問の自由からつながる自治をもって研究や教育がより活発にやれる、こういうことが必要で、これは理想だと思うんですね。

 きょうまで、これは非常に不思議だったわけでありますが、文部科学省、旧文部省という役所の中の一機関であった、全部の国立大学が。これ自体が非常に不自然なことであって、昭和三十七年ごろから大学公社化などと永井道雄さんなんかがおっしゃったり、四六答申ではいわゆる法人化なども出てき、六十二年の臨教審答申でもそういうことが十分議論された。

 だから、ずっと、おかしいと言っている人はたくさんいて、今回やっと、そういう意味では、文部省の、役所の中の一組織、一行政機関、そこから出て、分離して、そして独立した法人格を持つという意味では、単純にこのことだけを見れば、私は非常に、これは正しく実行すれば、今までの大学の自治をさらに強め、独立性を高める。というのは、今まではお金も人も全部文科省という役所に、国に握られていたわけで、それが相当部分緩んでくるわけですから、そういう意味では、これが正しく実行されれば、本当に教育研究という進めてくる分野をより高められるという理想だと思うんです。基本的にそういう考え方を私は持っております。

 ところが、今回、先ほどの質問では中期目標だとか中期計画を問題にいたしましたが、私は、お金の面からいろいろ今から具体的に聞きます。どうも文科省が、今までの頭が抜け切れないで、本当にまだまだ自分の内輪の組織だという意識が強くて、いろいろな面で、これは法律を詳しく見れば見るほど、ああ、なるほど、ここでまた縛りをかけている、ここで縛りをかけている。今までよりはましになることは明らかですよ、分離し、法人化するんですから。しかし、それをできるだけ少なくしよう、少なくしようという意識もどうも見え隠れするものですから、それを一つ一つやはり解いていかないといけない、そんなふうに私は考えております。

 国の一つの機関としてのきょうまでの国立大学から、今度は一つの国立大学法人が一つの大学の設置者となることによって、国との関係、特にこれは国側に聞くわけですから、決定的に大きく変わる点、それからほとんど変わらない点、ちょっと整理して教えてください。

○河村副大臣

 今藤村委員が、大きく違う面をむしろそちらから御指摘をいただいたような気もいたしますけれども、これまでの国立大学、もちろん、大学でありますから制度上の特例措置的なものもあったわけで、一般の行政組織とは違う部分もありましたが、御指摘のように、基本的にはやはり国の行政組織、文部科学省の内部組織にあったということでありますね。したがって、予算、組織、人事、あらゆる面で国の規制を受けておったし、日常的に文部科学大臣の広範な指揮監督のもとに置かれる、こういう関係にあったわけであります。

 それで、この法人化ということになって、国と国立大学の関係を大きく見直す、その基本的な考え方の中に、第一点は、六年間の中期目標期間において、国の日常的な関与とか諸規制を大幅に緩和し、撤廃する、そして各大学の運営上の裁量を最大限拡大していくということがまず一つある。

 第二点には、しかし、法人化後も国が財政責任を負うというのが基本的な概念にありますから、これは国が関与しなきゃならぬ部分として、中期目標、中期計画という六年間のまず入り口のところ、この部分と、そして事後ですね、業績評価、この部分、ということは、入り口が目標があり、そして出口のところの業績評価、これにおいて制度上限定していこう、国のいわゆる税金を使う大学であるという観点から、そこがあるわけであります。

 そして、このような国立大学への関与を限定しながらも、国立大学の自律性を高めるものでありますが、一方では、国立大学法人は、国立大学の教育研究の実施という国の事務事業を担う部分があるわけであります。そういう観点から、引き続き、国立大学そのものの開設、どこにどういうふうな、地域的なバランスを持つとか、位置の問題とか、こういうようなことを国が法律をもってきちっと責任を持って定めること。

 さらに、もう一点は、先ほどから御指摘のような、必要な財源措置を責任を持ってやるということでありますから、その部分に対する、国立大学の教育研究に対する国の責任を今後とも果たすという点において、これまで担ってきた国の役割を、そこできちっと責任を果たしていこうと。まず、開設等々に責任を持つこと、財政に責任を持つ、そのことは、これまでも、これからも国が責任を持ってやっていく。

 こういう点において、大きく変わる部分と、限定的に国が持たなきゃいけない部分、きちっと国が責任を持つ部分というふうに変わっていくと考えております。

○藤村委員

 ですから、私、きょうは財政的にいろいろ聞くわけですが、この部分については今後も国が責任を持って手当てをするんだ、これははっきりしているわけですね。だから、そこで、そのためにはこのくらいのことはまさにしないといけないというのが、先ほどの中期目標、中期計画であったり、今から運営費交付金の話を聞きますけれども、そういうことであったり。

 つまり、財政的責任を持つからには、どれだけの、まさに関与といいますか、これを世間は、大学支配といいますか、そういう言葉も使うわけですが、しないといけないかという話、このバランスの話になってくるわけです。でないと、全く何もしませんといったら私立大学ですからね。そういうことだと思うんです。

 それで、我々は基本的に、その関与は、特に教育とか研究という分野の大学の自治に属する部分というのはほとんど関与すべきでないというのが基本的な発想であります。しかし、国費を投入するからにはそれなりの関与が必要だというのも一つの理屈でありますから、そこのせめぎ合いだと私は思います。

 そこで、特にお金の面でいいますと、国がきょうまで国立学校特別会計というところに対して、これは国立大学だけで全体でいいますと二兆三千億円ぐらいかと思うんですね、まさに国立大学のすべての収入の全体像は。そのうちのおおむね一兆円ぐらいは、この年度の国からの一般会計で補てんをするわけです。つまり、二兆三千億の一兆といえば、半分よりはちょっと少ないかもしれませんが、そのぐらいの比率で国がまさに財政的責任を持っているわけですね。これがやはり大きいわけです。私学は全然そうはいかないで、おおむね自前でやるわけですよ。これが、その比率でもって、いわば支配する部分もそれに見合っているか、いや、大変重要なところを、むしろ無用な支配をしているとしているのか、ここが議論だと私は思うんですね。

 だから、これをただしていかないといけないと思うんですが、今までは国から国立学校特別会計へ一般会計予算から、ここでは、全体では一兆五千億出しています、そのうちの大学だけ、単純に言うと一兆ちょっとぐらいだと思うんですけれども、これは、今後はどうお考えなんですか。

○玉井政府参考人

 御説明を申し上げます。

 今回の法人化によりまして、国立大学法人に対する財政措置、これは国が責任を持ってきちんと措置をするわけでございますが、その中身としては、これは事業費に対しては運営交付金という形になりますし、それから施設整備に対しましては施設整備費補助金という形になるわけでございます。

 従来から、一般会計からの繰り入れの中に、まさにこういうお金も含まれているわけでございますけれども、今回は、こういう法人化にのっとって、基本的に、それぞれの国立大学法人が何が必要だとか何が主になるとか、それをよく考えさせていただいた上で、まさにこの法人にふさわしい形としての必要な財源措置を図っていく、こういうことになろうかと思っております。

○藤村委員

 この問いは副大臣から答えるべきだったのかもしれませんが、それが基本だというお答えの中で、今具体的に出てきた言葉が運営費交付金でありますね。

 国がきょうまでは国立学校特別会計というところに一般会計から支出していた。それは、一発というか一つの筋道だったわけです。今度は、国立大学法人すべて、一つ一つに対して、国から運営費交付金と施設費補助金、この二つのルートで出ますということ、これでよろしいですか、理解は。

○玉井政府参考人

 今御指摘のとおりでございます。

○藤村委員

 国立大学の半分近くが大学の附属病院を持っています、医学部あり。そこで、大学附属病院を持つ一つの国立大学を具体的なモデルとして考えるときに、今度は大学側にとっては、今までは大学というのは国の文科省の一機関であったから、その大学の人件費が幾らだとか、何が幾らだということは、実は余り大学人に認識が少なかったと思うんです。

 でも、今度は法人になりますから、もう、一つ一つの法人の大学の皆さんに意識してもらわないといけないと思っているんですが、その大学法人は、収入の部、今の、国から来るのは運営費交付金とか施設費補助金でありますが、その大学一法人の収入の項目、主たるものでいいですよ。それから、今度はそれに見合う支出をしていくわけですが、支出の項目の主たる部分、これをちょっと整理して言ってください。

○玉井政府参考人

 主な収入項目、これは大学附属病院を有する場合でございますけれども、そういたしますと、大学附属病院におきます患者診療収入、それから、これはほかの大学も同じでございますけれども、授業料及び入学検定料等の学生納付金収入、それに学校財産貸付料などの自己収入があるわけでございます。それに、今度、公の金として、運営交付金そして施設費補助金の収入が見込まれるわけでございます。

 それ以外にも、現在の国立学校特別会計の中にもございますけれども、受託研究だとかあるいは奨学寄附金という外部資金がございます。これは、一たん国の歳入に入れるということでございますので、そういう意味で国立学校特別会計の歳出歳入の中に入っているわけでございますけれども、今度は国の予算ということではなくて、各国立大学法人におきます外部資金収入という、別途それぞれの大学法人ごとの、予算とはまた別の収入ということが出てくるわけでございます。これが主な収入でございます。

 それから、支出の方も少し主なところで申し上げますと、主な支出項目でございますけれども、これは教職員に係る人件費が当然あるわけでございますが、そのほか、教育経費、研究経費、それから病院を持っておりますので診療経費、さらには、例えば保健管理センターの事業費といった教育研究支援経費、さらに施設整備費、こういうものが見込まれるわけでございまして、また逆に支出の面でも、先ほど、収入のところでは予算とは別に、国のものとはまた別に外部資金、こう申し上げましたが、それと見合った形で、今度は支出の面でも、外部資金などを財源としながら受託研究経費等のそういう関連支出というものが主なものになってくるわけでございます。

○藤村委員

 今までの例から類推するに、私は、運営費交付金というのが大学の収入で多分一番大きな収入になるのではないかと思います。そこが一番重要だと。それをすなわち国が出すということですね。

 ということは、この運営費交付金というのは一体どういうふうに出すんですか。ちょっとわかりやすく、簡単に言ってください。

○玉井政府参考人

 これは、具体的にはさらに、この法律を成立させていただいて、概算要求に向けて細部を詰めていくわけでございますけれども、昨年の三月に大学関係者等によります調査検討会議が新しい大学像に向けてという報告を出しております。その報告を考えますと、ここでは、各法人ごとの運営費交付金の額でございますが、これは標準運営費交付金と特定運営費交付金に区別する必要があるというのがこの調査検討会議の指摘でございます。すなわち、所要額を算定するに当たりましては、学生数等の客観的な指標に基づきまして各大学に共通の算定方式により算出された標準的な収入支出額、こういうものがございますけれども、それの収入と支出の差というものが出てまいります。これが標準的な運営交付金という形になると考えます。

 もう一つは、今申し上げました客観的な指標で、しかも各大学共通というのはなかなか難しいところがございます。そういう困難な特定の教育研究施設の運営、つまり各大学ごとにまた違いますので、あるいは事業の実施に当たっての収入支出額、その差を今度は特定運営交付金という形で算出し、その両者を合わせて運営交付金として交付することが必要というふうに検討会議での指摘がございますので、それに向けて私どもとしては細部を詰めてまいりたいと考えているわけでございます。

○藤村委員

 特定の方と標準の方があるというお話でありまして、私は、まず標準の方については、要は標準で、対象というのは、さっきおっしゃったように、要するに研究とか教育に必要な費用全体ですよね。その部分は、一部学生納付金、検定料等があって、それで残りの部分をこの標準の運営費交付金で出すという考え方でよろしいんですね。――よろしいですね。そういうことであります。

 すなわち、だから大学において教育と研究、この部分がやはり重要なんですよね。ここが、しかし今の御説明では割に一つの指標、つまり、学生数等とおっしゃいましたが、そこで決まるんだと。当たり校費だというふうな考え方ですよね。これは、だから割に裁量の余地はない、そう考えられると思います。

 ですから、くせ者は、言葉は悪いんですが、もう一つの方ですよ、特定の運営費交付金ですよね。ここは各大学の、つまり法人の事情に応じて個別に算定と。だれが算定をするか、文部科学省でありますよね。つまり、ここに大学に対する文部科学省の裁量というのは非常に大きく働くのではないかと思うんです。ただ、今の御説明により、それぞれ大学病院を持っている、附属機関を持っている、大学によって違うんだからと。では、この特定の方はどんな指標をもっていわば算定するんでしょうか。

○玉井政府参考人

 調査検討会議の報告をもとに今お話を申し上げているわけでございますから、そこに基づきます特定の方の支出項目で言われていますのは、やはり特別な事業に必要な経費だとか、あるいは附置研究所の運営等に必要な経費、附置研が大きいもの、小さいもの、あるところ、ないところあるわけでございます。それから、附属施設というものもそれぞれ大学によって違います。それから、先ほど申し上げました収入のところで大きな話として、病院を持っているか、持っていないかということも違います。さらには、今度は借入金の返済という金額もまた大学によってそれぞれ異なってくるわけで、そういう必ずしも各大学共通ではないところについてのことを考えているわけでございます。

 それについて一律の指標というのは、なかなか正直言って難しいところがございますので、これまで各大学がこれにどれぐらいの経費をかけていたのかといったところを前提に見積もりを立てていくということになろうかと思うわけでございます。

 そのときに、先ほどの御質問でずっときょう議論になっておりました、やはり中期目標、中期計画というのがあるわけでございます。大学としての大きなこれからの持っていき方という考え方があるわけです。それに沿って、ではそれを達成するためにどれだけの財源が必要になってくるかということも当然また全体の中での議論になってくるわけでございます。

○藤村委員

 今、次のお話もしていただきました。

 私は、一つは、特定だからなかなか客観的な、あるいは共通の算出基準がないんだというのはそのとおりだと受けとめますが、だから、一方で文科省の裁量の余地は非常に働くんですよ。ここが一つなんですね。それからもう一つは、今おっしゃった中期目標に従い中期計画がつくられ、そしてそれに対する評価が行われたときの、まさにその評価においての反映をさせる、これも文科省がやるわけですね、文科省の中の国立大学評価委員会ですから。つまり、その二つのところで非常に裁量が働く。これはもちろんいい方に働けばいいのであって、そこがやはり公明正大、情報公開、こういうことだと思いますので、ここはちょっと一つ指摘しておきたいと思います。

 それから、一つの大学において、非常に大きな支出の項目というのは、実は人件費であります。それは、やはり大学は人なんですよね。人からやはり生まれるわけです、学問、教育というものは。

 これは一つの例で、資料をいただいたのでちょっと数字を上げていいと思うんですが、北海道大学において、これは平成十三年度の決算の数字で、簡単ですが申しますと、総額というのは七百九十九億円。ここまでにしましょう。約八百億円と考えていいですね。支出の方を大きく分けると人件費が一番大きいわけで、これが四百三億円。あと物件費や施設費となるわけです。

 私、殊に人件費に注目しているわけです。つまり、この北海道大学、十三年度、年間八百億円でした。うち、半分ですよ、四百三億円、半分強が人件費であります。つまり、支出項目の約半分程度が人件費であるというのは、現にそうなんですから、今後ももう多分そんなに変わらないと思います。この人件費の決め方というのは非常に重要だと思うんです。

 特に今回、これは国家公務員ではない非公務員型を選びました。それから考えるに、当然、給与とか労働条件など、まさに労使の問題になってきます、それも一つ一つの法人ごとに。こういうことだと思うんですが、その人件費というか給与というのは、労使交渉で決めるものかどうか。

○玉井政府参考人

 まず人件費でございますが、要は、各国立大学法人みずからが自主的に決めるというのがまず基本でございます。そのときに、ではどういう形で各国立大学法人が決めるのかということでございますが、まず、各国立大学法人がいかなる目的、目標で教育研究の質的向上をしようとされるのか、そして、そのための人員、組織、そして施設設備、これらがどういう状況にあって、それらを最大限に発揮させるためにはどういうことをしたらいいかという、やはり教育研究の質の向上と、そしてそれを支える経営マインド、この中でみずからが決めるということになります。

 また、国からの交付金の中では、やはり標準といいますか、いわば必要なお金というものを先ほど申し上げました交付金の中できちんと措置するわけでございますから、そういうものと自己収入という関係で、どのように出させて、経営といいますか運営が成り立っていくのか、こういう中でお考えになる、まずこれが基本でございます。

 そのときに、では、具体的にさらに中でどういうふうにやっていくかということでございますけれども、具体の給与や労働条件は、これは各大学法人が作成する就業規則の中に規定をされるわけでございます。その就業規則を作成あるいは変更する場合には、これは労基法の適用になりますけれども、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の意見を聞きますし、過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければならないとしております。したがって、各大学法人において教職員等の意見を聞いた上で就業規則を作成する、その中に給与表等が入ってくるわけでございます。

 また、賃金や労働条件について、労働組合法に基づき労働者側の求めによって労使交渉を行うということも当然あるわけでございまして、その際には、やはり給与等の支給基準は、各大学法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならないというのが基本にございますので、そのことを十分勘案して、関係者において適切に対応していただくということになろうかと思います。

 先ほど、藤村委員、評価のことをお触れいただきましたけれども、要は、これは国立大学法人評価委員会というところでのきちんとした評価もございますし、また、具体の教育研究の中身につきましては大学評価・学位授与機構のピアレビューというのもございます。そういう第三者の目をきちんとしながらやっていくということになります。そういう意味でいいますと、実は、調査検討会議の報告の中におきましては、各大学の業績に対する評価に際しましても、給与等の人件費総額が適切に管理されているかどうか、そういったものもきちんと評価する必要があるというふうに報告されているわけでございます。

○藤村委員

 私は、例えば大学で実際に大学の先生から伺う話で、やはり、ある程度教授や助教授の数は多いんだけれども、助手とか若手が定数法のもとで今なかなか採用されない、むしろ、教授、助教授の給与は一割カットしてでも、そういう若い方に人員をふやすような努力をしたいなと。こういう努力が裁量でできると私は理解します。

 あるいは、例えば大学も、ヘッドハンティングといいますか、やはり有能な先生を日本国内からあるいは外国から持ってくる、こういう先生に対してはちょっと違う給料を出す、こういうことも当然できる、これはこう理解してよろしいんですね。

○玉井政府参考人

 御指摘のとおりでございまして、運営交付金というのはまさしく渡し切りの交付金でございまして、これがまさに、法人化の裁量を十分に生かして、それぞれの教育研究の質的向上のために、みずから何をしていくかということをお考えいただく大変重要な要素だろうと思っております。ただし、同時に、評価というものもきちんとあるということでございます。

○藤村委員

 ちょっと時間が足りないもので、また次回やらせていただきますが、最後に。

 私が冒頭申しましたように、今までの行政機関の一機関から分離をし、そして法人格を与える、このことだけ考えれば非常にいいことだと思います。大学の自治を高め、教育研究の実績をさらに高める。しかし、それに必要なのはお金でありますから、この部分についてお答えいただきたいんですが、しかし、全体像はまだよく見えません。

 つまり、非常に原理原則的に言うと、分離し法人化することはいいんじゃないかと思うんです。しかし、それは遠くから富士山を見て、非常にきれいな山だと。私も、新幹線でいつも、ああ、きれいだと。遠くから山を見たとき、遠山大臣じゃないですけれども、非常にきれいなんですが、これは、近くへ行きますと、富士山もなかなか険しいし、大変な山であります。落とし穴もある。これをやはりきちっと精査していかないといけないわけであります。

 私は、きょうはお金の話をしましたので、とにかくお金について、これはもう何度も何度も言っていますが、私もきょうまで何度か聞き、何度も答えていただいていますが、この大改革によって、国は、高等教育全般にとにかくお金を削減しようとか減らしていこうなどという意思は毛頭ないとは思いますが、その辺、ふやしていくという決意を必ず最後に言っておいていただきたいと思います。

○古屋委員長

 遠山大臣、簡潔にお願いします。

○遠山国務大臣

 日本の今後の発展にとって、大学にかかわる経費というものは、未来への先行投資だと考えております。その意味におきましても、大学、特に国立大学、今回の設置形態の変更を契機に削減するようなことには絶対ならないように、私どもとしては頑張りたいと思っております。

○藤村委員

 終わります。

 

 

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