○藤村委員
民主党の藤村修でございます。
私は、ただいま議題になっております二法のうち、特に集中的に独法日本学生支援機構法、さらにその中の、日本育英会が今回この独法の機構になるという、この点について幾つか御質問を申し上げたいと思います。
まず、法律ができるわけで、そういう意味では、過去、日本育英会、大日本育英会、昭和十九年から考えますと、延々ともう五十年、半世紀以上に連なる、日本の国が管理監督する奨学事業というのが大変有効に働き、重要な役割を果たしてきたということは言うまでもございません。
昭和五十九年でしたか、このときには日本育英会法の全面改正ということが起こりまして、ここからいわゆる有利子の奨学金、基本的に無利子の奨学金が続いたのですが、有利子の奨学金ができてきたということで、それが第二の大きな転換であったと思います。
そして、今回、二十一世紀を迎え、新しい独法という一つの大きな流れの中で、日本育英会も、今までの特殊法人から、ある意味では政府から法人としては独立をし育英事業、奨学事業を行っていくという、第三の大きな転換、そして、これはやはり二十一世紀の非常に重要な役割を果たしてもらわねばならないという期待を持って転換をさせないといけないな、そのように考えております。
そんな中で、ですから非常に基本の問題でございますが、目的がどうあるのかということでございます。私は、きょうはとにかく日本育英会の奨学事業に絞ってお尋ねをしてまいります。
目的、いろいろあるわけですが、その他のことを少し省略して、この日本育英会の部分については、例えば、先ほど言いました、昭和十九年、大日本育英会法によれば、これは難しい言い方ですが、「大日本育英会ハ優秀ナル学徒ニシテ経済的理由ニ因リ修学困難ナルモノニ対シ学資ノ貸与其ノ他之ガ育英上必要ナル業務ヲ行ヒ」、この先なんですね、「以テ国家有用ノ人材ヲ育成スルコトヲ目的トス。」こういう書き方であります。非常にシンプルであったと思います。
五十九年八月に全面改正された日本育英会法によっても、前文をほとんど省略いたしますが、その最後の目的部分でいうと、「国家及び社会に有為な人材の育成に資するとともに、教育の機会均等に寄与することを目的とする。」こうございました。
さて、今回、第三の転換、機構になるということでございますが、今回の法律では、機構の最初の目的規定は、これは独法のこれをつくるということで、むしろその中身の、特に育英部分がどうなるかというと、これは第三条だと思いますが、大変長い目的になっております。そして、こんな言葉が加わっているんですね、目的の一番最後の方の締めの部分ですが、「もって次代の社会を担う豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に資するとともに、国際相互理解の増進に寄与することを目的とする。」最後の、後半部分はどっちかというと国際の方ですから、育英事業本体でいえば、「次代の社会を担う豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に資する」、こううたっておるわけで、大変言葉はいいんですが、それならば、それに見合い育英事業が飛躍的に拡大するのかというところも問われます。
まず、この目的が、今回私が言いましたのは、大日本育英会、そして五十九年の日本育英会法全面改正、そして今回の、機構に変わる、ここにおいて、この育英奨学事業の目的は、今読んだとおりなんですが、大きく飛躍したと言えるのか、いや、そんなには変わっていないんですよと言えるのか、どちらでございましょうか。お答え願いたいと思います。
○河村副大臣
藤村委員、今、日本育英会の創立以来の歴史をたどりながらお話をいただきまして、今回の機構改革といいますか、日本学生支援機構ということによってこの育英会そのものが変わっていくのかというような御指摘も踏まえながらの御質問だと思います。
大日本育英会ができた当初の基本理念といいますか基本的な考え方、その奨学の部分、いわゆる教育の機会均等といいますか、貧しい方々、たとえ財政的に苦しくても学問をきちっとできるような仕組みをつくっていかなきゃいかぬ、この奨学のあり方、そしてさらに、やはり人材育成といいますか育英の考え方、この基本理念は今回の学生支援機構においてもきちっと貫かれていかれるものであろう、こう思っておるわけでございます。
それによって、飛躍的にと言われますと、私も、これは飛躍的に、大いにひとつこの際思い切って予算もふやしてという思いは十分あるわけでございますが、御存じのような財政状況でございます。しかし、この基本理念を大切にしながら、できるだけ多くの皆さんに奨学金が渡るようにという思いでこれからも取り組んでまいりたい、こう思っておるところでございます。
また、理念の中で、「創造的な人材」といいますか、そのような言葉を使いながら、この理念が非常に広くとらえられておるわけでございます。今日の社会、非常に多様な価値観がございまして、そういうものを許容した新しい価値をつくっていく、創出していくというような観点、それから、みずから考え主体的に判断をしていく人材、そうした資質というものが求められておるわけでございますので、規定も、そういうことを含めながら、今回の日本学生支援機構の人材育成という考え方を少し広げた形で表現いたしておるものでございますが、その根底に流れている理念というもの、創立以来培われてきたもの、それはずっと生きている、このように考えております。
○藤村委員
何より、もちろん今回の法の第三条にも書かれてはいます、「教育の機会均等に寄与する」と。それは、前の日本育英会の目的の、まさに「寄与することを目的とする。」と。多分、ここは基本的に変わっていないという今のお答えであろうと思いますし、育英事業、奨学事業としての基本が変わりない、そういうお答えであったと思います。
そこで、私、育英事業に関しては過去何度も質問をしている中で、育英か奨学かという議論を相当させていただきました。その中で、確かに、まだ戦前の昭和十九年から始まり、そして戦後の昭和五十九年の大改正の範囲の中では、社会情勢からいっても、非常に経済的に困難で優秀な人に高等教育を受けてもらう、私は今大学の奨学金について中心に申し上げますが、そういう目的で、やはり育英、奨学という両立をしてやってこなければならない、それはずっと一貫しておっしゃっていたことなんです。
ただ、時代の流れとともに、五十九年大改正のもとで、第二種、有利子の奨学金ができた。有利子は奨学金と言わずに教育ローンと言うべきだと私は思いますが、そういう新しい制度ができて、経済的な部分とか成績の部分なども相当緩和をして、割に広く貸せるようにした。ここから、特に第二種、有利子貸与の奨学金については、私は、奨学的部分あるいは奨学的意味というものにより重きを置いて発展させてきたのではないかと思いますが、この考え方はいかがでございましょうか。
○河村副大臣
委員御指摘のとおり、有利子の制度ができまして、そういう意味では奨学という面が重視されてきたということは言えると思います。
基本的には、無利子の第一種、これに基本を置きながら、さらに、できるだけ多くの皆さんに奨学金制度の恩恵にあずかってもらいたいということで、学生を支援するということから有利子奨学金の方も力を入れて今日まで来て、現状は委員が御指摘のとおりになっておるということでございます。
○藤村委員
現状がなっておるということで、つまり奨学的部分に相当重きを置いてきたはずなんですね。国会の議論も、あるいはその他のいろいろな関係のところの議論もそうであったと思います。
ところが、今回の法改正を見て法を見るときに、第十四条の学資の貸与という部分でありますが、そこに、第一種は「優れた学生等であって経済的理由により修学に困難があるもののうち、」「特に優れた者」、「著しく修学に困難」と。だから、第一種を育英という部分でさらにまた厳しく縛った。また、第二種はと第三項に書いてあります。第二種はそれ以外の者で云々、しかし、やはりもう一回書き直しておるわけですね、つまり「経済的理由により修学に困難がある」、そして「優れた者であって」と。
これは何も変わっていないじゃないか。私は、第二種は奨学的部分を相当強めていく表現に当然なるんじゃないかなと思っていたら、この法からいうと、むしろ育英奨学という思想をより強固にし一種に当てはめ、二種には、それ以外だけれども育英奨学だ、そういう法の書き方です。私は、やはり考え方として、奨学事業にできるだけたくさんの人に、まさに教育の機会均等、高等教育の機会均等を与えるんだという、これは答弁で答えておいてもらわないと、この法に縛られると何か育英奨学がもっと強くなるんじゃないかというイメージがありますので、お答えを願いたいと思います。
○河村副大臣
まだ経済的理由というのも残っておりますし、現実に、第二種におきましてももちろん、親の年間の所得でございますが、これも制限をつけざるを得ない現況にあるということで、こううたっておるわけでございます。しかし、現実に今五十万余が育英会で奨学金を受けておられる現状を見たときに、育英奨学が強化されたというよりも、その考え方がもっと広がってきたというふうに私は考えておるわけでございます。
これは法律事項でございますから、これが完全になくなるというと、今、全部に適用しなきゃいけないということが現実に不可能であるということもあって、この規定を残さざるを得ない状況にあるわけでございます。しかし、流れとしては、私がいつも申し上げているように、できるだけ多くの皆さん、できるなら希望される方には全部という思いもこの中には実はあるわけでございますけれども、規定としてはこうなっているというふうに御理解をいただいて、さらに財政的な面を我々確保して、多くの皆さんに奨学金を受けていただく方向に持っていきたい、このように考えておるわけでございます。
○藤村委員
河村副大臣はそういうお考えで、ただ、法律でこう書くと、何か、より育英奨学のまさに原点に回帰して、その部分を第一種で強め、第二種でそれを若干弱めたという、今までの範囲より何かちょっと縮みの思考ではないか、この法文の書き方から見るとそう思えるので、そうではない、より広げていくんだというお考えはお聞きしたと思います。
そこで、私、育英奨学ということからちょっと外れるかもしれませんが、これは社会のあり方ということに近いんですが、高等教育を受ける、大体十八歳以降になろうと思います。この場合には、五年前にもこの委員会で当時の大臣と議論もいたしましたが、五年前もそうでしたし、それ以上前からも、大学まで大半がどうも親の負担で、まさに親のすねかじりで、そして大学へ行って、余りそのありがたさもわからず勉強もしないような風潮もいっときあったし、本当にそれでいいんだろうかという議論をいたしました。当時、町村文部大臣は、やはりある程度、十八歳以上になれば、例えば自分で働いてためて学校へ学費を払うとか、それから、奨学金を受けて親にほとんど経済負担を与えないでというやり方も必要だというお考えも示されました。
ここで、私はもう一度現時点で、遠山大臣と河村副大臣に、これは社会の一つ、ライフワークの中で人はどの辺から自立すべきか、あるいは高等教育を受ける場合にはやはり今までのような丸々親抱えでいいのか、すねかじりでいいのかという考え方について、それぞれの御所見を伺いたいと存じます。
○遠山国務大臣
高等教育機関に学ぶ学生たちはもとより、私は、日本の子供たちすべて、これからは、自立的な精神のもとにみずから学び、みずから考え、そして上級の学校に行きましたときには、みずからの責任において必要な学費、貸してもらえるものであれば借りて、それをしっかり返しながら自立していくという経済的な自立も含めて、そのような子供なり若者たちというものを育成していくというのは大変大事だと思っております。
昭和十九年から始まった育英の制度の当初から、日本の奨学金制度は、奨学金を借りて返す、その循環の中においてまた次代の人たちが借りられるということで、自立を促してまいったと思います。これからは、先ほど委員がおっしゃいましたように、奨学という精神がこれまで以上に生きてくる、そういう時代に入ると思いますけれども、それであればこそなおかつ、自立ということを前提としたこの制度をしっかり継続し、あるいは発展させていくというのが大変大事だと思っておりまして、そういう国民により構成される我が国というものがあって初めて活力ある国になるというふうに私は考えます。
○河村副大臣
今日、大学の進学率、短大も入れますと五〇%を超える時代でございまして、親の立場になって考えますと、まずは高校までは何としても親の力で、そして大学ということになると、経済状況もありましょうが、少しは自分もアルバイトをしながらでもやったらどうかという家庭も多かろうと思います。私は、アルバイトに余り精を出し過ぎて勉学がおろそかになっては困るなと半分は思いながらも、一般的にそういうふうな時代になってきております。また、今日、親の教育費に対する負担感といいますか、私は、これは塾とかなんとか入れて、そういうものも含めてのものだからと思いつつも、かなりそういう思いがあるようでございまして、少子化時代の一つの原因に、教育費がかかるというのが必ず出てくる。
そういうことを考えまして、親の皆さんといろいろな話をしてみても、やはりこれからは奨学金が充実して、子供が自分で、自立してそれを借りて自分で返してくれるということは大賛成であるし、大いに進めてもらいたいという声が圧倒的に多いことを考えますと、これからは、大学においてはみずから借りて自分の責任において返すという方向へ持っていく。
そして、藤村委員よく指摘されますように、やはり自分に、みずからに投資するという気持ち、そういうものも非常に大切な要素ではないか、こう考えておりますので、私は、ただ親のすねをかじっておけばいいというものではなくて、みずから育英資金を求めて、そして自分の力で返していくというやり方、そういうことによって育英奨学というものがまさに循環をしていくということが望ましい、こう考えております。
○藤村委員
その方向性、同じように私も考えます。
遠山大臣がおっしゃったように、奨学金の精神というのは、大事なのは、自分がそうして必要なときにお金を借りて勉強できた、これは、ある意味では社会に対する御恩というもの、ちょっと言い方は古いんですが、そういうもののありがたさを感じるという意味では非常に重要だと私は思うんです。かつ、それをきちっとまた返していくことで後輩たちにまさに社会の恩恵を継続させていく、この精神というのは非常に大事だと思うんですね。
私は、給付がもちろんいいんですが、日本は当初からそうでなかったものですから、今いきなり全部給付にしろなんて言いません。やはり、奨学金の制度、仕組みというものの中でそういう部分があるということ、それから、河村副大臣がおっしゃったように、自分で自活してやっていく、それでその中に奨学金制度が貢献できればいいということだと思います。ですから、奨学金制度がやはり拡充しないとというか充実しないと、あるいはそれにこたえないといけないということが我々に問われているんだと思います。
今、副大臣のお話で、親の負担とおっしゃったので、先週も山口委員から出ておりまして、山口委員いわく、一千万かかる、だから子供二人で二千万、三人目だと三千万でとてもというお話がございました。本当にそのとおりであります。
特に後半の高等教育に金がかかることは、これは最近の調査で、いわゆる自宅外で子供を私学にやる場合、まさに入学の年にかかる費用が三百十二万円という数字が出ております。一人の子供に三百十二万円、入学の年にです。その翌年からおおむね二百万円かかるわけですね。これは大変な額、もう大学だけで一千万ですよね。ある意味では、それを四十代ぐらいになる親が、すねかじりであれば、全部何とか出していく。まさに親の家計というか一家の家計というのは火の車になるわけです。二人いたら、もし双子でいたら六百万かかるというのは、考えられないわけであります。
家計が崩壊するような今の教育費に対して、考え方として、一つは、十八歳以上は自立、自活して、あるいは自分で奨学金を受けて、そのかわりそれを返していくという、まさに自分に投資する考え方、これをできるだけやはり浸透させねばいけないと思いますし、一方で、またそれにこたえられる奨学金制度をつくっていかねばならない、そのように思うわけでございます。
それで、私、今度はもう少し奨学金の中身のことで、第一種と第二種というお話、先ほど来、歴史的なことも申し上げました。昭和五十九年から有利子、第二種ができた。それから、平成十一年からですか、同じ有利子貸与のきぼう21というプランで新たに拡充をされた。
これはこれで評価をいたしますが、第一種は無利子で、さっきの規定からいうと、優秀で困難で、それも特に優秀で著しく困難という限定がこの法はあるんですけれども、これと、それから、第二種は少しそれを緩和して、できるだけ広くと言っているんですが、現時点で文科省はどういうふうに把握されるんですか。第一種、第二種あわせて考えるときに、奨学生、貸与を希望する学生については、数の面でまず大体足りているのか、それから、金額の面では多分足りているとはおっしゃらないと思いますが、金額の面と、その二つについてお答えを願いたいと思います。
○河村副大臣
奨学金事業でございます。これの拡充をこれまで図ってきたところでございまして、特に、有利子を含めて考えた場合においては、高額所得世帯の子供を除いて、勉学意欲のある者、先ほどの法律の中に「特に優れた者」それから「優れた者」というのがありました。このすぐれた者の意義の中には、いわゆる成績だけじゃなくて、成績を見るというよりも、勉学意欲のある者だというふうな認識でございますので、広がったというふうに考えておるわけでございます。それで、いわゆる勉学意欲のある者については、貸与基準を満たす希望者はほぼ全員を採用している状況になっていると言っていいのではないか、こう思っております。
大学生を持つ親の年収を見ても、いわゆる有利子の場合には、このたび一〇%上限を上げまして、千二百十二万から千三百四十万になっているわけでございます。それは、大体九割の学生をカバーしているということになっておるところでございます。
あとは貸与月額の問題でございますが、学生生活費も確かに上がっておるわけでございまして、無利子奨学金については、今年度も二千円の増額を月額で行って、大学学部で、国立の自宅外で五万円、私立の自宅外が六万三千円となっておるわけでございます。また、有利子奨学金については、学生が希望によって三万円から十万円まで選べるようになっておるわけでございますが、有利子奨学金の平均貸与実績を見ますと、大体六万円が実績ということでございますから、無利子奨学金の貸与月額についても、ほぼ学生の希望に対応したレベルにあるのではないか、こう考えております。
しかし、実績等々を見ていっても、ではこれで完全かと言われると、まだまだ、もっと借りやすくすれば希望者はふえるであろうと私も思っておりますので、これからも、勉学意欲と能力のある学生をしっかり支援していくという面では、さらに奨学金事業の一層の充実に努めてまいらなきゃいかぬ、このように考えます。
○藤村委員
次に、質問通告書で八番目の項目にちょっと飛びます。関連があるもので、こっちからいった方がいいと思うんですが、今、一種と二種という区分で、二種が最近ふえてきたという話でございます。
ちょっと、資料をお配りいただくように理事会で許可いただいたかと存じますが、回っておりますか。
私、二種がそれなりに拡充してきていることを評価いたします。ただ、過去、日本育英会の問題をテーマにして国会でやれば、これは必ず、育英奨学事業は無利子貸与を根幹とし云々という附帯決議がいつもつけられます。つい先般の参議院でもこれはついてきましたよね。参議院でも「無利子奨学金を基本としつつ、奨学事業全体の一層の拡充に努めること。」と。これは常に言われてきたし、大日本育英会当初の、とにかく無利子だから奨学金と言えるので、利子をつけたら、これは今、〇・二%ぐらいですか、利子が安いからといってみても、本当にちょっとでも利子をつけるというとこれはローンでありますから、奨学金というからには、まさに無利子貸与、今で言う一種が基本であります。
それで、ちょっとこのところの様子を今資料でお配りして、これは数字がたくさん並んでいますので、口で言ってもわかりにくいんですが、一番右端が平成十五年度でございます。ここの無利子貸与部分の事業総額、Aですよね、これが二千二百七十六億ですか。有利子貸与の事業総額、これはCの部分で、平成十五年度だと三千四百四億。今やこんなに二種が、有利子が大きくなったんですね、事業で。
これはいつ転換したかというと平成十三年で、十二年の場合は、事業総額でいわゆる無利子が二千百九十八億、有利子が千九百五十二億だったのが、平成十三年になって、無利子が二千二百八十五億――十四年で転換したんですか、十三年で転換したんですね。つまり、この前の日本育英会法では、多分平成十年の審議でありました、あのときももちろん、無利子を基本とし、あるいは根幹とし、それで有利子が、二種が補完的なはずだったのが、平成十三年からは逆転いたしました。主従逆転、主客転倒になったのではないかと思います。
そこで、もう一度この表をよく見ていただきますと、私、ちょっとこれで発見したのは、返還金充当額というのは相当大きい部分を占めますね。特に、無利子の部分で返還金充当額というのが年々上がってきております。つまり、返還金が金額的にもふえているということであります。
返還金充当額というのは、例えば五年前、平成十年で見ると千百十三億で、無利子貸与事業の総額の五五・六%。それが、次の年は五三・六、次は五四・二、去年は五八・五、平成十五年は六三%。返還金の充当額というのはまさに返ってくるお金ですから、これの比率が上がってきているということは、国はそれだけ負担が軽くなっているんじゃないか。
上を見ますと、事業総額で見ても、実はしかし、平成十三年度が事業総額で金額的には一番多い。十四年は減っている。十五年は、十四年よりはふえたけれども十三年よりは少ない。
だから、過去、我々は国会で附帯決議を何度もし、無利子貸与が根幹である、あるいは基本である、有利子は、二種は補完的であるといいながら、どうもこれは無利子貸与の部分を減らしているんじゃないか。一方で、無利子貸与の方は返還金がふえているんですよ。ということは、まさに無利子貸与の部分に対する国の支援はより減っているんですよ。これはちょっと方針としてはおかしいのではないですか。
この表を見て御感想を。
○遠山国務大臣
無利子奨学金をその事業の根幹とするというのは今日でも変わっていないわけでございまして、昭和五十九年の法改正の際の附帯決議におきましても、「無利子貸与制を根幹としてその充実改善に努めるとともに、有利子貸与制度は、補完措置とし財政が好転した場合には検討すること。」ということでございまして、私は、今日のこの数値はまさに日本の財政状況を反映していると思います。
しかし、この制度の根幹には無利子貸与というものがありまして、その数値というものはほとんど減になっていないわけですね。しかも、それは貸与人員の増員あるいは貸与月額の増額ということで、必ずしも十分ではないかもしれませんけれども、私どもとしましては、財政措置の厳しい中にありながらできるだけやってきているというふうには思っております。
他方で、意欲と能力があって、経済的な理由で学べないというような人たちをできるだけ救おうということで、有利子貸与の方に少し力を入れてまいっておりますが、それはいずれも伸ばしているわけです。伸ばすときに、近年やや有利子の方を多く伸ばしているということでございますが、それはむしろカバーする率を高くするということでございます。
そういうことで、いずれも、二つの育英と奨学を柱としてきた、その考え方は変わらないわけですし、根幹において無利子というものを置いているという点は今後とも維持すべきだというふうに私は考えております。いろいろな事態の変化、それから学生たちの要求、さらには財政状況というものを勘案しながら今日の状況になっておりますが、今後とも、奨学金制度の重要性にかんがみまして、私どもも、むしろ委員の先生方のお力添えを得ながら、これについては充実をしていきたいというふうに考えております。
○藤村委員
財政事情ではなくて、育英会の奨学事業の無利子貸与総事業の中での事情からいえば、財政事情はよくなっているんです。つまり、返還金がふえているわけですね。返還金がより多くなってきている。でも、その部分の規模は大きくしていかない。それに対して、政府貸付金がありますね、政府貸付金を若干減らしています。
だから、本当は、政府貸付金をイコールにしてくれば、返還金がふえた部分だけ実は総事業はふやせるんですよ。にもかかわらず、こっちが、返還金がふえたことをいいことに政府貸付金を減らしている。これはむしろマイナス方向に動いているのではないかと見えるんです。
○河村副大臣
この部分ですが、特に平成十四年が減ってしまったということ、これも、私も初めにこの数字を見たときにおやっと思ったんですが、実は、特殊法人改革で一〇%のシーリングがかかった経緯がございましてこういうことになったわけでございまして、十五年はまたそれをもとにして予算を要求するものでありますから、それからまたふやしていったということでございます。
返還金が返ってきてだんだん多くなれば、それに連れてこちらをふやしていくという方針、これには変わりはございません。ただ、残念ながらそういう経緯があったということであります。
○藤村委員
それからもう一点指摘したいのは、財政事情というのはまさに政府の支出の部分ですね。政府がどれだけ支出しているかというと、この無利子の部分で政府貸付金、これは十五年度だと九百五十億、それから有利子の方に対しては利子補給金、これが百四億。ですから、一般会計負担額、BプラスDとありますね、ここが平成十五年度でいうと千五十四億だと。千五十四億を高等教育の奨学金に政府が出していると見ると、なかなか大きい額だと思うんですが、実はそうではありません。
実は、無利子のところに出しているのは貸付金であります。貸付金というのは政府がお金を貸しているわけです。だから、政府の純粋たる支出ではないわけですね。となれば、実はどれだけ出しているかというと、有利子の部分の利子補給金の百四億なんですよ。百四億しか出していない。
これはなぜ、しかと言うかというと、例えば初等中等教育における義務教育費の教科書無償は、毎年まさに消費的支出として政府が、今年度だと四百億円強でありますか、これだけ教科書無償を出していますね。日本育英会というか、まさに高等教育を担う、高校以上を担う育英事業に、貸付金は確かに一千億近く出しているけれども、実負担額というのは百億ちょいですよ。これは政府、ちょっと少な過ぎるのではないかということを一つ指摘しておきます。
もう一つは、私、まだ二つ、三つあるんですが、もう一つに絞って言わないとしようがないですね。
先日のこの委員会で、同僚の山口委員から提案がありまして、私はいい提案だと思うんですが、あの際に考え方として、今の一種、つまり無利子の貸与のところに、今指摘しましたように政府貸付金が、今年度でいうと九百五十億円、平成十三年度だと一千億円を超していましたが、政府が貸し付けるんですね、それを奨学金に貸与する。この政府貸付金と似たような形で、この一種の部分で厚生年金基金、先般厚生省から来て答弁されました。百四十四兆円という大きなお金の中で、政府が今第一種の奨学金部分に政府貸し付けで出している一千億円と同程度の規模、つまり一千億円ぐらいですね、というのは、あっちは百四十四兆円で一千億なんというのは、それは比率でいったら非常に小さい比率であります。
そのことで、これはここで議論する話ではありませんが、年金の積立金というのは、まさに老後のためのお金でもあり、しかし、それを掛けるのは若い人たちで、その若い人たちを育てていく。だから、年金の大きな基金の中で本当に一部、わずかではあるけれども、若い人たちの奨学金に出ているんだよということは非常に意味があることであろうと我々は思うわけであります。
だから、ぜひとも次世代育成の観点からも、私は、第一種奨学金の部分に今の政府貸付金、現時点で約一千億弱ですが、それと同等ぐらいの額を入れていく。これは年金にとっても、貸し付けですから、何も消費するわけではありませんから、減らないんですね。減らない。まあ利子分ぐらいは減るわけですけれども、しかし、それの効果というのは非常に大きいと思うんですね。
まさに次世代、将来年金を払う世代、あるいは大学生であれば払い始めている世代、そういう人たちに一部奨学金として貸与できれば、これは年金の考え方の中でも非常に大きな、宣伝効果と言うと言葉は違うんですが、意味があるし、それが百四十四兆円ぐらいの中の年間でいうと一千億円ぐらいを、貸し付けるんですから、返ってきますから、そういう考え方について、私は本当に積極的にこれは検討が必要と思います。
こっちの文科省の側のあるいは今回の機構の側の奨学事業にとって、そのことはどういう問題点があるのか、今ちょっと整理してお答えを願いたいと思います。
○遠山国務大臣
この問題は、先般もお答えいたしましたけれども、現在、社会保障審議会年金部会で審議されているところでございまして、現段階におきましては、その中でも肯定的な御意見、そして否定的な御意見があるようでございまして、まだ一定の方向性が出ているわけではないと承っております。
仮に年金資金を日本学生支援機構の無利子奨学金の財源として活用する場合、問題点を整理しろということでございますが、例えば、長期かつ安定的な財源化が可能であるかどうか。それから、老後のお金ということで預かっているわけでございますから、やはりその運用はプラスになっていかないといけない性格であるかもしれませんので、そうなりますと、有償資金とならざるを得ないのではないか。それから、回収できない奨学金の償却は可能であるのかどうか。私どもが整理いたしましたところでも、幾つかの問題点があることは確かでございます。
ただ、この問題につきましては、さはさりながら、委員御指摘のような角度も大事だと思っておりまして、しっかりとメリット、デメリットを考える必要がございまして、今後の社会保障審議会年金部会での検討状況あるいは取りまとめなどを踏まえながら、今後厚生労働省ともよく相談をして対応していきたいというふうに考えます。
○藤村委員
ぜひ積極的に推進いただきたい。と同時に、何か年金基金をうまく運用してあげるという発想は、私はやめた方がいいと思うのです。それはあくまで年金側の考え方ですが、まさに貸し付けて、もとはおおむね返ってくるのですから、運用ではなしに、ただ、この奨学事業にそれだけ年金から出していますよということの宣伝効果というのは、私は非常に大きいと思いますので、だからむしろ、二種で利子つきなどと考えずに、一種の方に、まさに政府貸付金と見合いの形で入れていくことを提案しておきたいと思います。
時間がほぼ終了しましたが、では一点だけ最後に申し上げるだけ申し上げて、終わります。
これは、文部科学省の調査で、学生生活調査の中で数字として出していただいた新しいものですが、先ほど河村副大臣は、一種と二種で、大体今、金額の面ではまだ不足かもしれない、数の面では足りてきているとおっしゃいましたが、こういう数字がございます。
大学だけで言いますと、大学学生数二百五十万ぐらい。そのうちの、日本育英会を含み奨学金を受けている人は七十一万七千人ぐらい。それ以外の人で、実は申請したが不採用というのが六万九千九百人、七万人ぐらい。希望するけれども、しかしいろいろな事情で申請していないというのが四十三万二千人。現時点で、大学だけでいっても、実は五十万人程度はあれば借りたいなと思っているわけですから、この潜在需要あるいは潜在的な必要性、必要とする学生たちのことを必ず念頭に置いて、この人たちにできるだけたくさん貸していく、そういう制度の前進をお願い申し上げまして、終わります。
ありがとうございました。 |