○議長(綿貫民輔君)
会期延長の件につきお諮りいたします。
本国会の会期を七月二十八日まで四十日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。 本件につき討論の通告があります。順次これを許します。藤村修君。
〔藤村修君登壇〕
○藤村修君
民主党の藤村修でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議長から発議されました四十日間の会期延長に対し、反対の立場で討論を行います。
(拍手)
反対する第一の理由は、国会運営のルールに関してであります。
通常国会の会期は、国会法にも定められているとおり、百五十日でございます。特別国会、臨時国会には会期の定めがなく、通常国会についてだけ、会期が定められています。この点を考えるなら、内閣は、法案提出に当たって十分に計画し、法案を会期内で成立させるに十分な審議時間を確保する責務があります。
もちろん、与野党がともに合意するような緊急かつ重大な法案で、その審議が会期内の時間で足りないといった場合には、会期延長もあり得るでしょう。そのために、通常国会についても、一度だけ、会期延長が認められています。
しかしながら、今回のような、いわゆるイラク復興支援特別措置法あるいはテロ特措法改正案など、国民的議論を巻き起こし、慎重かつ十分な審議が必要な法案を、政府・与党の都合だけで、会期延長を当然のことと考え、はかったごとくに会期末に提出するようなやり方が常態化するならば、これは会期制の意味を全く失ってしまいます。会期という定められた時間の中で議論するというのが、国会運営上の最低限のルールであります。
衆参両院では、会期末ということで、多くの議員が本当に精力的に法案審議をしております。それは、定められた会期の中でできる限りの審査をしようという真摯な態度と努力のあらわれであります。もし、ここで会期の延長をするということであれば、一体何のために努力しているのか、大変むなしくなります。政府・与党は、この矛盾をどのように説明されるおつもりでしょうか。
反対する第二の理由は、今回の会期延長が余りにも与党、とりわけ自民党の御都合主義によるものだからであります。
政府・与党は、この延長を、いわゆるイラク復興支援特別措置法等を審議するためと位置づけていらっしゃいます。もちろん、イラクの復興支援を進めることは大切であります。しかし、問題は、ここに至る経過であります。
イラクの復興支援問題は、与党内、特に自民党内の党内政局の道具と化し、イラク復興支援で日本として何が求められているのか、そのために新たな法律の制定が本当に必要なのかどうかなどといった肝心の論議は置き去りにされ、国会終了後をにらんだ党内の駆け引きに終始していたのであります。政府・自民党は、このような政争を繰り広げたあげく、ばたばたと法案提出に踏み切ったのであります。
提出された法案の審議は、短時日で済むものではありません。各政党においても、イラクにおける支援のあり方等について、場合によっては現地調査を行い、さまざまな情報収集など、地についた活動と党内論議が必要であり、国会審議には十分な準備が必要であります。
そのためには、今国会を一たん閉じて、改めて臨時国会を召集し、審議すべきであります。その間に、政府におかれても、国際社会における日本の役割を精査し、内容を再考した上で法案を出し直すことも必要ではないでしょうか。
(拍手)
ところで、イラクにおける戦争を正当化する理由として、イラクの大量破壊兵器の存在というものがございました。この大量破壊兵器は、いまだに発見されていません。戦争の大義が揺らいでいる中、小泉総理は、フセイン大統領が見つかっていないからといってフセイン大統領がいなかったと言えるのかなどと、余りに的外れの説明しかしておりません。
小泉総理は、もっと真摯に説明責任を果たすべきであります。その説明さえないままにイラク復興支援法案の制定を目指すなど、まさに本末転倒であります。自民党内においてさえ、この件についての理解は得られず、結果として、大量破壊兵器処理の支援活動の項目を削らざるを得なかったではありませんか。
反対する第三の理由は、会期延長の目的であります。
本来ならば、今通常国会は、最重要課題として、混迷を深める経済問題に取り組むべき大切な国会となるはずでした。国内には、さまざまな問題が山積しています。不良債権処理など金融問題への取り組みは、りそなグループへの公的資金注入という皮肉な形で国民の前にその姿をあらわしました。また、深刻な雇用失業にも、国を挙げてその対策に着手すべきときであります。
小泉総理は国民に痛みを与えただけで、総理がなし遂げようとした構造改革は既にとんざしています。小泉内閣のもとでは、国民の負担は増すばかりであります。総理の構造改革路線の旗印であったはずの道路公団民営化推進委員会や地方分権改革推進会議においても、いずれも、総理の決断は下されないまま混乱をきわめ、構造改革どころか、内閣の破綻あるいは与党と内閣の不一致が見え隠れしています。
さらに、政治と金の問題です。与党は、もはや、この問題についての自浄能力さえも失っているかのようであります。
民主党を初め野党四党は、暴力団関係者とのかかわりが明らかとなった松浪健四郎議員の議員辞職勧告決議案を提出していますが、与党は、政治倫理審査会での弁明だけで決着させようとしています。また、与党は、政治資金規正法見直しで、献金の公開基準を緩和させるという、政治改革に全く逆行する方針を決めました。
これらのことが国民の政治への不信を一層強め、国会の権威と名誉を大いに失墜させていることを自覚すべきであります。
もし、会期を延長するなら、徹底した景気・経済・雇用対策の論議を目的とするべきであります。そして、政治と金の問題についても、国民にわかりやすい決着を図るべきであります。それなら検討の余地はありそうです。しかし、残念ながら、政府・与党には、その姿勢のかけらもありません。
こうした目的意識の面でも、今回の会期延長は全く無意味であると言わざるを得ないのであります。 民主党は、本通常国会において、すべての国会審議に全力を注いでまいりました。国会論戦を活発にさせ、審議を深めることが野党第一党としての責任と役割だと考えるからです。重要法案には常に対案を示し、十分な委員会審議をするよう要求してきました。その成果の一つは、長年の懸案であった有事法制関連法案で、これは、修正の上、可決成立しました。
しかしながら、今回の会期延長は、既に申し述べました理由で、必要性や正当性のかけらも感じることができません。
最後に付言しますが、今回の会期延長については、綿貫議長から、議院運営委員会に対して、異例の御注文がありました。それは、イラク復興支援特別措置法が今なぜ必要なのか、国民に十分にわかってもらう必要がある、政局とか党利党略とかと見られているのでは困る、また、法案を出す以上はスムーズに審議できるように与野党がよく話し合ってほしいなどとのことでございました。
(拍手)
これを受けて、議院運営委員会において、きょう、議論が始まったばかりであり、議長に対する答申を出すまでにはまだまだ協議が必要な中での本会議において会期延長の件を取り扱うのは大変拙速であることも申し添え、民主党は今回の会期延長に断固反対であることを再度表明して、私の反対討論を終わります。
(拍手)
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