第165回  06年12月13日

 教育基本法改正の質疑において
 民主党案『日本国教育基本法案』の提案者として答弁に立つL

教育基本法に関する
特別委員会

 

○中井委員 

民主主義ですから、私が言うまでもなく、民主主義のもとでだれが一番責任を強く持つべきかというのは、選挙で選ばれた人であります。そういう意味で、教育委員会、公安委員会委員、これはそれぞれ戦後は選挙だったんですね。選挙がなくなって、そして今、公安委員会の委員というのは、もう全く警察の隠れみのみたいになっちゃって機能していない。事務局は全部警察、県警本部の人たちだという中で、公安委員に任命された人たちそれぞれは御立派で、一生懸命おやりになろうとしている。教育委員会委員に選ばれた方も、地方地方で立派な方で、一生懸命おやりになっているけれども、事務局も含めて一切権限がない中で、本当に機能するのか、中立性を保てるのか。中立性を保つのなら、もう選挙をやる以外にないんですね。それをやらずに、教育委員会を今のままに置いて、そして、中立性を残して強化をするというのは至難のわざじゃないかと僕は思っております。

まして、私どもの党の法案には、義務教育は国の責任だと書いてあります。政府の案は、国と地方公共団体、等分の責任みたいな書き方をしてございます。書き方は等分であっても、そんなことはあり得ないんでしょうけれども、国の責任とは書いておりません。そうすると、どこが中心になって教育委員会の改革というものをやるんだということを一つとりましても、なかなか見えてこないんじゃないかと私は考えております。

そういった意味で、私どもの出しました案が意外とすっきりとおもしろい。教育委員会におる人たちや地方自治体の長は、教育委員会を隠れみのに使っていますから、議会で教育問題を質問されたら、はい教育委員長、こう言うだけのことでございまして、実際は、任命と予算は首長が持っておるんでしょう。

そういうことを含めて、日本人は本音と建前を使い分けるのは上手ですから、私どももよく承知をいたしておりますが、教育の現状を見たら、もうそんなきれいごとだけでは済まされないと私は思います。そういった意味で、思い切った判断をなさるように強く勧めて、次の質問に行きます。

いじめの問題でございます。

先ほど文科大臣は、いじめにもいろいろないじめがある、こう言われました。私はそのとおりだと思います。私は余りいろいろな例を知りませんが、一つ身近にあったことを申し上げます。

私の地元の中学校で、ある子供がある子供を鎖で殴ったんですね。その子は、殴った方は非常な乱暴者で、大変な問題児だった。父兄が学校へどなり込んで、何ということだと言っても、学校も校長も教育委員会もどこも対応しない。なぜか。その殴った方の子供は、暴力を振るった方の子供は、離婚された御家庭のお子、生活保護だ、それから、出身地域にもいろいろとあったりと。学校全体が、殴られた子はまともで強いんだ、だからあなたが我慢しなさい、殴った子がかわいそうな子だ、こうやってかばうというんですね。

僕もびっくりしまして、どういうことだと聞きましたら、義務教育九年だから、九年で卒業させなきゃならない、だから、この問題の子を卒業さすのが教育だ、殴られた方は普通の子だからほっておいても大丈夫だ、こう言うんですね。私、教育委員会にも尋ねましたら、そうですと言うんですね。ちょっとびっくりいたしました。最近ではありません。十年以上前であります。

結局、強い者が弱い者をいじめるというのが、ここでいきますと、弱い者が強い者をいじめたからいじめではない、こういうことになるんでしょうか。

こういうことを含めて、現場は非常におかしなやり方をしている。その中の一つに、九年間で義務教育を終える、義務教育は九年だという教育基本法の現行の規定がある。そうすると、落第させられない、小中で落第させられない。今回の局長の通達等を見ますと、出席停止だということも含めて考えろと書いてあります。教育再生会議でもそういう御意見があったと聞いております。しかし、現実に、小中学校生は落第させられない。学校の先生にもっと本音を聞きますと、あんな問題児は早く卒業してくれないと、来年まで残したら大変だと。こうやって、その問題児の方をケアする。ケアするというのは、はれものにさわるようにして扱う。もうわがまま放題、したい放題のいじめをやる、こういうものも一つあるわけであります。

そういったときに、政府案も民主党案も、実は義務教育の年数を書かずに法律を提出してございます。ここら辺で、いろいろとあろうかと思いますが、小中学校において落第ということも考えるのか、このことについて、文科大臣のお考えをお尋ねし、法案提出者の民主党の方にもお尋ねをしたいと思います。

○伊吹国務大臣 

義務教育で、まあ落第という言葉が適当かどうかわかりませんが、進級を認定しないということは可能なんです。これはいろいろな事例がございまして、基本的には、一番大きな要素は出席日数ですね。出席日数が半分以上に達していないようなケースはなかなか進級の認定がしにくいというのが従来からの考え方です。

今先生がおっしゃったようなケースについては、やはり学校が毅然とした態度をとるべきいじめの一つの例をおっしゃったと思いますね。ですから、出席停止という、処分というんでしょうか、措置は現在でもとれることになっておりますから、そういう場合はしっかりと学校長の判断で出席停止処分をする。そうすると、人権問題だとかいろいろな非難がわき起こるという現状も私知っております。そのときは、やはり教育委員会が積極的にその学校をかばってやらないといけませんですよね。今みんなが事なかれ主義になっておりますから、先生が先ほどおっしゃったような教育委員会のあり方論が出てくるんだと思います。

ですから、義務教育においても進級を認定しないということは可能であるということは申し上げておきたいと思います。

○中井委員 

学校教育法施行規則第二十七条、できることになっております。しかし、大臣、実際は全然ありません。それは、根幹、義務教育を九年で終えさせなきゃならない、ここがあるんですね。だから、今回法律に書いてないから、これから決めるのかもしれませんが、そういったことを含めてお考えをくださいと僕は申し上げておるんです。

民主党さん、いかがですか。

○藤村議員

中井委員に発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

私ども今政権政策という形で連日の討議をしている中で、私どもは、普通教育は国が責任を持つという基本の考え方に基づいて、普通教育というのは現在の小中に加え高等学校までを一般的に普通教育と申しますので、我々は、その普通教育までの範囲、つまり、今の高校の範囲は義務教育化ということで議論がほぼ収束しつつございます。そういう意味では、六・三・三の計十二年、この範囲で普通教育の目的を達成するべく学校は努力をするべきだ、そのように考えております。

かつ、今の教育委員会制度、先ほど御質問ございましたが、我々は、これは伊吹大臣もおっしゃるとおり、いじめの形というのはいろいろ、それぞれ、また地域性もあったり、一つに統一できない。ですから、この前の再生会議が提言をされたように、全国一律にこうだというふうにして、いじめをある意味では上から抑えるようなことではなしに、学校教育の一番の現場に近いところ、すなわちそれは学校でありますから、学校がその経営において、学校の先生、それから地域の住民の方々、そして保護者の代表、あるいは教育の専門家、この一体化した学校理事会、地域立学校とも言えると思います、その地域立学校のもとで、それぞれのケース・バイ・ケースのいじめの問題にやはり対処、これが迅速かつ一番具体的な対処ができると思っておりますので、今でも、本当に学校の現場に最も教育の主体を持っていただきたい、そのことは変わっておりません。

○中井委員 

どうも御両者とも端的にはお答えいただけませんので、これはこのぐらいにしまして、次に、未履修の問題に移らせていただきます。

けさほど、理事会におきまして、私どもがかねて要求いたしておりました六百六十三校の高校未履修、いつぐらいからか、この全調査結果が報告をされました。

調査をいただいて文句を言うのはまことに恐縮でありますが、文科省の調査というのは本当に遅いですね、大臣。時間がかかるのは僕は余りよくわからないのであります。中学の未履修についてはこれからだと、こういうことでございます。理事会や委員会では十一月からもう始めてくれているんだと思っておりましただけに、これはお急ぎをいただくようにお願いいたします。

我が党の議員が後からまたこの資料をもとに質問するかと思いますが、お見せいただいた限りでざっと判断しますと、平成六年度、ここでまずどんと一〇%前後が未履修をスタートさせている。それから、平成十五年度、ここでさらに多く、公立は百七十校、私立は百二十三校、合計二百九十三校が未履修というところへ入り込んでいる。

これは、どうしてこういう年度だ、こう見ますと、平成六年は、要するに前回の指導要領の改訂があった年だと。ここでいわゆる世界史必修、地理歴史というものになって、三科目のうち二科目みたいな形の中で一科目しかやらないという未履修が起こったわけでございます。そして、平成十五年、これが現行の指導要領改訂の年でございます。

未履修はすべて、文科省のお出しになった指導要領の改訂に伴ってふえている、だから文科省の責任もあるんだ、このことを改めて私は申し上げておきたい。このようにあえて大臣に注意を促しておきます。これは、知っておったわけでありますし、指導要領を出した年に、どん、どんとふえるんですからね。これは、やり方を少しお考えにならないと大変だ。

もう一つは、私ども三重県、公立はないのかと何度も確かめましたが、ないということでございます。先ほども文科省に確かめましたら、ないと。なかったら、ない県は、三重県なんかは大学入試の結果が余りよくないなとみんな言うておるんですね。これは、ちゃんと履修したからかと。いやいや、履修しているところでも大学進学のいい県もあるというが、それは塾の多い県ですね。塾の多い県だ。三重県みたいに、塾が少なくてまじめにやっているところは、進学の問題で不利になっているじゃないかとか、いろいろな問題は提起されると思うのであります。

特に、指導要領を改訂した年にふえておる、このことをぜひ御記憶いただいて対応賜りたい。そして、中学の未履修について、できる限り早く調査結果をお出しいただくように。調査をまだ開始していないなんという話であります。大至急開始していただいて、結果を御発表いただくようにお願いいたします。

 

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