○議長(河野洋平君)
提出者藤村修君。
〔藤村修君登壇〕
○藤村修君
民主党の藤村修でございます。
ただいま議題となりました教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案、民主党提出を趣旨説明させていただきます。
このたび、約六十年ぶりに教育基本法の改定がされ、政府は、中教審答申も踏まえて教育職員免許法の改正をただいま提案されております。ただし、その内容は、免許法について簡単に言えば、教員免許状に十年の有効期間を設け、十年ごとに免許状更新講習を実施し、修了した者に免許状の有効期間を更新する、それだけのものではないでしょうか。
民主党は、何より、教員免許の見直しを行うなら、教員養成段階に手をつけない限り何ら抜本的な改革にはならないと考え、ただいま議題となりました民主党提出の免許制度改革法案を提案いたしました。
民主党案のポイントは、第一に、教員養成段階で教員となる者の大幅な資質向上を図るために、教員の普通免許状については、現在の四年制大学修了から、さらにその後一年間の教育実習を含む二年間の修士修了者に免許することといたしました。第二に、修士を経て教員の職についた者が、実務経験八年以上を経た後に、さらに教職大学院大学で一年間の専門的な教育を受けて取得できる今までにはない専門免許を新設して、いわゆるスーパーティーチャーの資格を設けることといたしました。第三に、免許状には政府案のように十年の有効期間は設けないものの、原則として免許授与後十年ごとに講習を受け、修了を認定することとし、また、専門免許にはこれら講習の必要がない仕組みといたしました。
このように、民主党案では、養成段階での大幅資質アップ、さらにスーパーティーチャー資格の新設、十年ごとの講習と修了認定の仕組みなどを盛り込んだ内容の大変厚いものとなっております。
以下、内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、本法案は、教育職員の免許状の制度改革について基本的な理念と方針を定めるもので、教育職員が高度の専門性と豊かな人間性が求められる職業であることを踏まえ、その養成段階において、教育職員としての使命感を涵養しつつ、その職務をつかさどるための必要な資質及び能力を確実に修得させるとともに、実務についた後においても、研究と修養の機会を十分に与え、その資質、能力の一層の向上を図ることができるようにし、並びに教育職員の資格付与等に関し国が果たすべき役割と責任を明確にする等を基本にしております。
第二に、免許状を子供の発達段階に適切に対応したものとするため、教諭の普通免許状及び特別免許状は、現行の学校種別ではなく、幼稚園、小学校の初等教育諸学校、中学、高校の中等教育諸学校、そして特別支援学校の三つの区分にすること。
また、教諭の普通免許状は、専門免許状及び一般免許状に区分すること。専門免許状は、一般免許状を有し、教育実務等に八年以上携わった者が、教職大学院において三つの分野、すなわち、学校経営、教科指導、生活・進路指導等の各専門分野における高度な資質、能力を修得するための必要な科目の単位を得た者に授与し、一般免許状も、現行制度で学士の資格のところを修士の資格としたものであります。
第三に、民主党は、我が党提出、日本国教育基本法案においても提案のとおり、普通教育に関し国が最終的な責任を有することにかんがみ、普通免許状は文部科学大臣が授与するものといたしました。
第四に、免許状は、原則として十年ごとに、知識、技能に関する講習、模擬授業を中心とする演習等から成るおおむね百時間程度の講習を受講し、その修了認定を受けなければならないことといたしました。最初の十年経過の際の講習は、いわゆる教育公務員特例法について義務づけられている十年研修制度をもってこれに当てることを想定しております。また、専門免許状取得者は、いわゆる十年ごと講習の対象者とはしないことといたしました。
以上が、民主党の教員免許の改革法案の御説明でございます。
議員各位におかれましては、何とぞ、十分な御審議の上、御賛同いただきますようお願いを申し上げます。
(拍手)
―――――――――――――
○馳浩君
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる教育再生三法案について、総理大臣及び文部科学大臣並びに厚生労働大臣に質問をいたします。
(拍手)
法律の具体的内容に先立ち、まずは、総理が立ち上げた教育再生会議の役割についてお伺いいたします。
矢継ぎ早に改革案が打ち出される再生会議と、文部科学省との政策決定プロセスには、どのような連動性があるのでしょうか。また、再生会議と中教審にはどのような役割分担がなされているのでしょうか。さらに、再生会議はどうして中教審のようにマスコミにオープンではないのでしょうか。会議の後に議事録を公開するだけでは、議論の流れやニュアンスを第三者が判断することはできません。安倍内閣の重要課題に位置づけられている教育改革の、そのリーダー役を務めていると思われる再生会議は国民注目の的です。マスコミ公開に難色を示すメンバーがいるとしたならば、国民に開かれた再生会議とは言えず、何をか言わんやです。ぜひマスコミ公開のもとで議論されるべきであると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
次に、改正の具体的内容について質問いたします。
第一に、学校教育法の改正について質問いたします。
昨年、六十年ぶりに教育基本法が全面的に改正されました。新しい理念や目標が明示されました。これらの理念や目標を学校現場でどのように具体的に実現していくかがこれからの課題です。実現に向けての総理の見解をお伺いします。
また、伊吹大臣には、学習指導要領をどのようなスケジュールで見直して、新たな教育の理念や目標の実現を現場に浸透させていくおつもりか、お伺いします。
また、新たに規定された幼児期の教育についてお伺いします。
幼児期の教育の重要性を考えると、保育所と幼稚園の垣根が低くなることが望まれます。幼保一元化に向けての国民の期待を総理はどのようにお考えでしょうか。また、幼児教育の将来の無償化については骨太の方針二〇〇六にも盛り込まれておりますが、実現に向けてのクリアすべきハードルは何なのか。財源なのか、文部科学省と厚生労働省のベルリンの壁なのか、総理と文部科学大臣及び厚生労働大臣に具体的にお伺いします。
また、学校評価及び情報提供に関する規定が整備されます。
私は、かつて、母校星稜高校で国語の教員として教壇に立っておりました。体験から申し上げますが、学校が適切な評価を受けるために一番大切な情報提供は、職員会議の運営と内容についてであると確信しております。例えば、一部の組合員の大声でじゅうりんされるような閉鎖的な職員会議であってはなりません。今回の改正で、職員会議を含め、どのように学校運営の状況に関する情報が国民に対して提供されるのか、伊吹大臣の答弁を求めます。
第二に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
一口に教育委員会と申しましても、大きく違います。都道府県教育委員会、政令指定都市教育委員会、中核市教育委員会、規模の小さな市や町や村の教育委員会です。規模は違えど共通していることが一つあります。議会承認という手続こそありますが、いずれも任命権者である知事や市町村長に頭が上がらないことです。その証明は、三位一体改革のときに、教員給与の国庫負担金の一般財源化問題について、本心は反対なのに、知事会や市長会の顔色をうかがい、声高に意思表明できなかったことに尽きます。こんなありさまで、本当に教育の中立が保たれるとお考えでしょうか。総理と伊吹大臣にお伺いいたします。
次に、高校の未履修問題について伊吹大臣に質問します。
本来履修すべき教科の授業が行われていなかったこの問題は、いかなる言いわけも許されない、言語道断、情けない、根の深い問題でした。とりわけ私立学校に未履修が多く、裏返すと、地方教育行政上の指導が十分私学の現場に行き届いていないのではないかとの組織上の懸念を抱かせました。今回の法改正で、このような未履修問題に対し、私学も含めて対応できるようになるのでしょうか。
御存じのとおり、私学を所管しているのは、教育委員会ではなく、知事部局である総務部です。このままでは、必要な教育行政上の相談や連絡体制において公立学校との格差が生じます。この問題は、国立大学法人附属学校においても同様です。私学を担当する知事部局に教育行政のプロの職員を配置するか、さもなくば、教育というくくりで教育委員会が所管するという形にするかを検討する時代ではないかと思いますが、伊吹大臣の見解を伺います。
次に、民主党の地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案の提出者に伺います。
この法案においては、教育委員会を廃止して教育事務を首長に移管するなどの仕組みが提案されていますが、このような提案で果たして教育がよりよくなるのか、民主党案の提出者に見解を伺います。
第三に、教育職員免許法及び教育公務員特例法の改正案について質問いたします。
私は、指導が不適切な教員を現場から排除する仕組みとして免許更新制を導入するという発想には断固反対します。
私も、大学を卒業していきなり教壇に立ったとき、自分に自信がなく、大いに不安でした。しかし、そんな私を温かく指導してくださった先輩教員や保護者の支えがあったおかげで少しずつ成長できました。だめ教員を一方的に評価して現場から駆逐するという発想があっては、人間教育のはずの学校現場が殺伐とし、教員に求められる多様な個性を萎縮させかねません。免許更新制を今導入しなければならない哲学について、総理に伺います。
また、現在教壇に立っている百十万人の教員が今後十年ごとの免許状更新講習を修了するとして、一体幾らの国庫負担や都道府県の負担が必要でしょうか。また、大学側の負担はどのようなものになるのでしょうか。それらの新たな負担に見合った、いや、それ以上の成果が納税者から期待されるわけですが、伊吹大臣の見解を伺います。
次に、民主党から提案のあった新免許法について質問いたします。
現行の教育職員免許法は、短期大学から大学院まで、さまざまな大学が、その特性を生かし、多様な教員を養成することを基本理念としていますが、民主党案では、どのような教員を養成することをお考えでしょうか。提案者の見解を伺います。
また、政府から提出している教員免許更新制の要件は、教員の負担や大学の講師等の受け入れ体制を勘案して、三十時間の講習の修了としていますが、民主党案では、どのような要件を満たした者に更新を認めることとなるのでしょうか。お答えください。
次に、指導が不適切な教員の人事管理の厳格化について伺います。
そもそも、指導が不適切という言葉の定義は何でしょうか。伊吹大臣に伺います。
既に、各都道府県で指導力不足教員への対応が一定程度進んでいます。しかし、その取り組み状況には地域によって温度差があります。文部科学省は、教員の資質の向上のために、つくばにある中央教員研修センターなどを活用して、全国的な教育水準の維持向上を図る必要があると思いますが、伊吹大臣の見解を伺います。
また、よりよい教員を育てていくためには、教員の養成、採用、研修、免許更新制と、それぞれの段階を貫く哲学が必要であります。とりわけ採用に関しては、多様な指導力のある教員を現場に配置できるような配慮が必要です。より実践的な教科教育法や学級経営論や、障害児対策や、生徒指導や進路指導や部活動指導の方法もマスターしていかなければなりません。時には、理不尽な保護者への対応の仕方も求められます。伊吹大臣の哲学を伺います。
多忙感をきわめる現職教員への要求は尽きることがありません。大変なプレッシャーのかかる教員の処遇については、一罰百戒ばかりではなく、優秀な教員に対する表彰制度や給与へのめり張りをつけることも必要です。当然、教職員をふやし、多様な要求にこたえるための職場環境の改善は、待ったなしであります。教員給与の優遇措置を定めた人材確保法は、制定時と現在では社会的、政治的背景が違いますので、一律性はぜひとも見直し、頑張る教員は評価され、処遇に反映されてしかるべきと思いますが、伊吹大臣の見解を伺います。
最後に、美しい国を支える人材とは、具体的に一体どんな日本人像とお考えか、総理にお伺いして、質問を終わります。
(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
馳浩議員にお答えいたします。
教育再生会議の役割と中教審との役割分担についてお尋ねがありました。
教育再生は、私の内閣における国政上の最重要課題であります。二十一世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を図るために教育再生会議を設置いたしました。
教育再生会議の提言については、速やかに施策として実行に移せるものは移し、今回の教育三法案のように、制度改正が必要な場合など、さらに検討が必要なものは中央教育審議会での検討も踏まえつつ、内閣を挙げて教育再生に取り組んでいるところであります。
教育再生会議の議事の公開についてお尋ねがありました。
教育再生会議については、記者ブリーフィング、議事要旨、議事録等により、会議の内容を公開しています。これは委員の意見を踏まえた措置であり、今後とも、こうした形で会議の内容の公開に努めてまいります。
学校現場における改正教育基本法の理念の実現についてお尋ねがありました。
教育基本法の新しい教育理念を学校現場において実現するため、まず、学校教育法を改正し、義務教育の目標として規範意識、公共の精神、伝統と文化の尊重、そして郷土や国を愛する態度を養うことなどを法律上明確にします。さらには、学習指導要領の改訂などを通じて、このような内容の具体化を図り、公教育の再生に取り組んでまいります。
幼保一元化についてのお尋ねがありました。
現在の幼稚園と保育所は、それぞれ異なる目的、役割を有していますが、連携を進めていくことが重要と考えております。また、国民の多様なニーズに対応するため、昨年十月、就学前の子供への教育と保育を一体的に提供する認定こども園を創設したところであります。今後とも、認定こども園制度の活用促進など幼稚園と保育所の一層の連携を進め、就学前の子供に対する教育、保育の充実に取り組んでまいります。
幼児教育の無償化についてお尋ねがありました。
幼児教育の将来の無償化については、財源、制度等について検討する必要があると考えており、歳入改革にあわせてそれらの問題を総合的に検討することとしております。いずれにせよ、幼児期の教育は人間形成の基礎を培う重要なものとして極めて大切であると考えており、文部科学省と厚生労働省の連携により幼児教育の充実に取り組んでまいります。
教育委員の中立性についてのお尋ねがありました。
地方における教育行政については、教育の中立性や継続性、安定性の確保、さらには多様な民意の反映を図るため、首長から独立した合議制の執行機関として教育委員会が設けられております。このような制度の趣旨を踏まえ、教育委員会はみずからの責任を自覚して教育行政を進めていくことが重要であると考えています。
教員免許更新制についてお尋ねがございました。
国際化が進み、価値観が変化し、自然科学が進化するなど、世の中が時々刻々と変化している中で、教員が、その時々、必要な知識、技能を確実に身につけることは、教育の充実を図る観点から極めて重要であります。このため、すべての教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、そして社会の尊敬と信頼を得ることができるよう、十年に一度、資質、能力を刷新する教員免許更新制の導入が必要と考えています。
なお、問題ある教員への対応については、御指摘の点に十分留意しながら、教育公務員特例法において対処していく所存でございます。
美しい国を支える人材についてお尋ねがございました。
明治、大正期に日本を訪問した多くの外国人は、日本人の謙虚さや質素さなどについて称賛をしております。そういう意味で、立ち居振る舞いの美しい日本人の育成こそ美しい国を実現する上で重要と考えています。このため、先般成立した改正教育基本法の理念のもと、家族、地域、国、そして命や自然を大切にし、公共の精神、そして豊かな人間性と創造性を備えた日本人の育成を目指してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。
(拍手)
〔国務大臣伊吹文明君登壇〕
○国務大臣(伊吹文明君)
馳議員から十一にわたる御質問がございました。
まず、学習指導要領の見直しでありますが、現在、中教審において審議をいただいております。その中では、国会で御承認をいただきました改正基本法の理念を踏まえて、基礎的な知識の着実かつ確実な定着とその活用をする力、あるいは規範意識の確立のための具体的な手だてなどを検討していただいております。
改正基本法を国会で御承認はいただいておりますけれども、学習指導要領は文部科学大臣の告示という手続によってなされますので、今回、学校教育法の御審議をもう一度国会にお願いすることによって、その間を国民の意思によってつないでいきたいと考えております。
次に、幼児教育の無償化についてのお尋ねでありますが、御指摘のとおり、骨太の方針あるいは「日本経済の進路と戦略」等の閣議決定がございます。文部科学省と厚生労働省の間には、ベルリンの壁などというものはございません。あるとすれば、まさにそれは財源の壁でございます。これを無償化するためにはやはり膨大な財源が要りますので、閣議決定の際にも併記してあるように、今後の税制改正のあり方等々を参考にしながら、できれば無償化にすることが望ましいと思っております。
次に、学校教育法改正で、職員会議等を含めて、学校の情報提供についてどうするのかというお尋ねでございます。
学校は、まずその説明責任を果たして、そして家庭と地域と協力をして教育力を果たさねばなりません。そのためには、学校に関する情報の積極的な提供が求められておりますので、今回の学校教育法においても、情報提供について新たな条項を設けて規定しているところであります。
この規定は必ずしも義務規定ではありませんけれども、本条の趣旨に照らして、学校の教育目標、教科指導や生徒指導の様子など、職員会議の内容も含めて、学校運営の状況を知らせるために必要な情報を各学校において積極的に検討していただきたいと考えております。
次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について二つ御質問があったと存じます。
まず最初は、教育の中立性についてであります。
既に総理がお答えをいたしましたように、地方における教育行政については、教育の中立性や継続性、安定性を確保し、さらに、多様な民意を反映させるために、選挙によって選ばれる首長から独立をした合議制の中立的執行機関としての教育委員会を設けていることは御承知のとおりであります。
このような制度の趣旨を踏まえて、今回の改正案では、特に教育委員は、その職務の遂行に当たって、みずからが教育行政の運営について重大な責任を負っているということを自覚していただくことを規定し、同時に、教育委員会の責任体制の明確化を図ることといたしております。
このような観点から、教育委員会が地方教育行政の中心として主体的にその責任を果たしていただくことを促してまいりたいと思っております。
次に、私立学校の未履修問題についてお尋ねがありました。
私立学校といえども、国公立学校と同様に、国会で定められた法律に基づく学習指導要領に基づいて適正な教育課程が編成、運営されることは、私は、国民として当然のことだと思っております。学習指導要領に反し未履修がある私立学校については、所轄庁である都道府県知事の十分な指導助言が行われることが大切であることは言うまでもありません。
今回の地教行法の改正では、知事が必要と認めるときは、教育委員会に対し、学校教育に関する専門的事項について助言または援助を求めることができるという規定を新たに設けており、したがって、私立学校における未履修問題については、これまでどおり、所轄庁である都道府県知事において管理監督をいたしますけれども、その際には、教育委員会から助言、指導等が十分活用されるよう、一層適切な文部科学省としての要請、指導を行いたいと思っております。
なお、法律を作成する際に、内閣総理大臣から総務大臣に対しまして、ただいま御指摘になりましたように、知事部局に指導主事を置くなど、適切な指導が行える体制を促すようにという御指示があったことを申し伝えたいと思います。
次に、私立学校に関する教育行政のあり方についてでありますが、私立学校も公教育の一端を担うものでありますから、主権者たる国民の代表である国会で決められた法律を遵守することは、これは当然のことであります。このような考え方に基づき、中央教育審議会の答申では、所轄庁である都道府県知事のもとに学校教育に関する専門的知識を有する者を配置するなど、体制の充実を求めております。この求めに応じて、先ほど申し上げた総理の指示が出されたところであります。
また、今回の改正地教行法におきましても、ただいま申し上げましたように、知事が必要と認めるときは、教育委員会に対し、学校教育に関する専門的事項について助言または援助を求めることができる旨の規定も織り込んでおります。
今後とも、私立学校の教育行政上のあり方については、注意深くこれを見守り、国会の議決の範囲の中で公教育の責任を果たしていただくように努力をさせていただきたいと思っております。
次に、免許更新制についての費用負担でございますが、更新制の導入に当たっては、更新の講習会の実施、全国的な免許管理システムの導入、その他必要な広報の実施等に係る費用が必要となってまいります。
そのうち最も重要なものは、言うまでもなく、更新の講習の実施に要する費用であります。年間十万人ずつの教員が受講するといたしまして、従来の実績を勘案いたしますと、一人大体三万円程度の費用が必要になります。ということは、年間三十億前後の費用が必要だということです。
この教員免許は、個人の資格、職業に対する資格でありますから、その更新に要する費用については個人負担にするという考えももちろんございます。しかし、同時に、国あるいは教育上の要請から、国会の議決によって、特に現職の教員についてはこれまで予期しなかった負担が生ずることになりますので、当然一定の配慮が必要だと考えております。
したがって、国会においてどのような御議論をしていただくかということも踏まえて、今後、費用のあり方については、国、地方自治体そして御本人の負担等について検討させていただきたいと思います。
指導力が不足という言葉の定義についてお尋ねがありました。
これは、率直に言って、見る人の立場によっていろいろ考えが違うと思います。しかし、一般論として言えば、教科に対する専門的知識、技術が不足しているため、学習指導が適正に行えない教師、あるいは、指導力、指導方法が不適切であるため、学習指導を行うための技術や専門的知識まで欠けているような教師、そして児童生徒の心を理解する能力や意欲に欠けて、学級経営や生徒指導を適切に行い得ないような教師、このような場合がやはり指導が不適切な教師に当たると理解しております。
次に、教師の資質向上について、全国的な教育水準の維持向上を図ることにつき、中央教員研修センターの活用などの御提案がございました。
各地域で中心的な役割を担う校長、教頭等に対する研修や、都道府県教育委員会が実施する研修の指導者の養成を行うのが、御承知のとおり中央教員研修センターであります。文部科学省といたしましては、このセンターを活用し、教員の底上げに努め、全国的な教育水準の一定化を図りたいと考えております。
教員の養成について、極めて哲学的なお尋ねがございました。
教育は人なりと言われますように、学校教育の成否は教員にかかるところが大きいことは言うまでもありません。養成、採用、研修の各段階の改善充実を通じ、質の高い教員を育てていかねばなりません。
養成段階にある大学においては、教職課程の見直しを図ることも大切だと思いますし、教員に求められる基礎学力をしっかり身につけるように指導をしていくことも必要だと考えます。採用段階では、御指摘のように選考方法に工夫を凝らし、質の高い教員の卵をしっかりと見きわめねばなりませんし、また、採用された後の現職の研修では、経験豊富な先輩教員の教えを前提として、実践的な指導力の完成を目指すことが何より大切です。そして、それとあわせて、今回お願いしております更新制は、時代の変化や要請に応じて求められる資質の刷新を図ることをねらっているものであります。
こうした各般の施策を通じて、強い情熱そして確かな力量、総合的な人間力、馳先生が備えておられたような資質をしっかりと兼ね備えたすぐれた教職員の養成、確保に努めてまいりたいと考えております。
最後に、教職員の処遇の改善、教員の表彰あるいは給与等についてのお尋ねがございました。
単に教職員をむちで追うだけが私は教員をよくする道だとは決して思ってはおりません。そして、黙々と努力をしている多くの教員の人がおられることをよく存じております。したがって、政府としては、教職員の数も含めて公務員の総人件費の改革に取り組んではおりますけれども、今後の教職員定数のあり方については、安倍内閣の教育改革にかける思い、そして今後の教育振興計画の策定等の議論を踏まえて、総理も熱い決断をしてくださることを私は期待いたしております。
すぐれた成果を上げた教員を表彰することは、ことし、初めて安倍内閣においてこれを実施いたしました。今後とも、教員の意欲を高めるためにさまざまな取り組みを推進してまいりたいと思います。
なお、教員に優秀な人材を確保することは教育再生の必要不可欠な条件であると思いますので、人材確保法の精神は今後とも大切にすべきであると考えております。ただ、一律の優遇措置の見直しは、馳議員のおっしゃったとおり考えていく必要があると思いますし、職務負担の適切な評価やめり張りのある教員の給与ということが大切だと思っております。
平成二十年度の予算編成に向けて議員各位の御協力を心からお願いして、御答弁といたします。
(拍手)
〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
○国務大臣(柳澤伯夫君)
馳議員からは、私に、幼保一元化関連で二つほど御質問をいただきました。
保育所と幼稚園とはそれぞれ異なる目的、役割を果たすものとして設置をされております。したがいまして、今後とも、それぞれの特性を踏まえながら連携を深めていくことが基本であろうと考えております。
他方、少子化の進行や保育、教育ニーズの多様化への対応も求められておりまして、これに対しましては、保育、教育を一体的に提供し、地域における子育てを総合的に支援する施設として、認定こども園というものを昨年十月より設置し始めたところでございます。
いずれにいたしましても、文部省との間で垣根を低くして協調して、保育所と幼稚園の一層の連携を深め、就学前の子供に関する保育、教育の充実に取り組んでまいりたい、このように考えております。
幼児教育の無償化につきましてお尋ねがありました。
昨年七月に閣議決定されました骨太の方針二〇〇六等におきまして、御指摘のとおり、幼児教育の将来の無償化について検討することとされております。
保育所も含めた幼児教育の無償化につきましては、保育制度、教育制度のあり方及び財源の問題にもかかわりがありますのは当然のことですが、さらに、親の働き方とも関連する面があること等から、国民の幅広い議論が必要であろうと考えております。
厚生労働省といたしましては、閣議決定された方針に沿って、歳入改革が行われる場合には、文部科学省とも連携を図りながら、幼児教育のあり方として総合的に検討してまいる所存であります。
以上であります。
(拍手)
〔藤村修君登壇〕
○藤村修君
馳浩議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、馳議員の内閣提出法案に対する御質問については、ポイントを非常に厳しく押さえられ、時に辛口の質問をされたというふうに受けとめております。これぞ国会審議の矜持を示したものだと敬意を表したいと存じます。また、本日提出したばかりの我が党案にも御質問をいただいたことに感謝を申し上げます。
馳議員からは、我々の新地教行法と免許法についての御質問でございました。
まず、地教行法について、地方公共団体の行う教育行政について、我々は首長ということに権限を集中させました。現在、首長と教育委員会との二元行政の問題が、これはずっと指摘されているところであり、また、地教行法に基づく現行の教育委員会制度においては、教育委員は首長による任命制でございますし、ですから、レーマンコントロールという、いわば民意を反映した教育行政が行われているとは言いがたいということもずっと指摘されていたところであります。
選挙を通じて住民に責任を負う首長が、これは財政も持ちますから、一元的に教育行政を所管することにより、地域の個性を発揮し、住民の声にも的確に対応する教育行政が可能となる、このように考えております。ただし、中立性の問題ということが常に指摘されます。
そこで、我々は、現行教育委員会を、これは発展的改組という言い方をしておりますが、外部の教育監査委員会に改組することとし、教育行政に対する厳しいチェックを外部機関、独立した機関として機能することにより、首長の恣意あるいは行き過ぎた過度な政治性を排除することも、また学校現場の不適切な運営を排除することもでき、よりよい教育の実現に資するものと考えております。
次に、免許法のことで二問ございました。
まず、各大学、学部で学んだということを全然否定するものではございません。我々も教員養成についてはいわゆる開放制を考えております。ただ、現在、全国で約八百ぐらいの教員養成大学があります。先ほどの伊吹大臣の答弁にもありました、それらがマンネリ化しているといいますか、教員養成課程を持つそれぞれの大学にもやや問題があることは中教審からも指摘されているところでございます。
基本理念としては、教員には高い資質、能力を求めたいという気持ちがございます。子供たちも多様化しており、昔は見られなかったような問題もさまざま出てきている教育現場でございますことも考え合わせれば、現在までと同じ学びの量で現在の理想に足り得る教員の資質、能力が培われるとはなかなか言いがたい現状があることも認めなければならないと思います。
よって、民主党案では、思い切った教員養成におけるレベルアップを目標とし、一般免許はすべて修士レベルを要求し、その養成課程の中で、これは修士の段階でありますが、一年間の教育実習を必須とすることにより、養成段階での適切な学びと、教員としての高度の専門性と豊かな人間性を培うことに力点を置いております。
もう一問、教員免許のことで。
免許状の取得後原則として十年を目途に、学び直しの機会を設け、自己研さんを奨励するため、教員等の経験八年と教職専門大学院においての一年課程を修了した者に、より専門的な力を持っていると認定し、専門免許を授与することとし、免許を新設しております。
また、専門免許未取得の免許者に対しては、原則として十年ごとに講習を実施することとし、その最初の研修機会として、現行教育公務員特例法で定められておりますが、十年経験者研修というものを拡充し、これに充てたいと思っております。また、その内容については、百時間程度。現行の教特法における十年講習というのは二十日間で、時間数にするとおおむね百時間程度になるかと思います。それを一つの参考にし、十年研修における百時間程度の講習の修了を目指しております。修了要件は、もちろん通信教育あるいはオンデマンド教育なども活用し、知識科目七十時間、スクーリング形式による実習、演習等を三十時間、計百時間程度としております。そして、これは委託された各認定大学等が修了認定をすることといたしております。
以上、簡単に申し上げました。(拍手)
―――――――――――――
○議長(河野洋平君)
野田佳彦君。
〔野田佳彦君登壇〕
○野田佳彦君
民主党の野田佳彦でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の教育関連三法案及び民主党が提出をした教育力向上三法案について質問をいたします。(拍手)
その前に一言申し上げたいのは、最近、民主党がせっかく法案を提出して提出者が登壇をしても、一方的に自民党の議員が批判をして、そして立ち去るという姿を随分見てきました。ひきょうであり無礼だと思いました。その中で、先ほどの馳浩議員の態度は、疑問に思ったことはきちんとぶつけていただきました。教育者らしい、スポーツマンらしい、フェアな態度だと敬意を表したいと思います。
一方で、最近の自民党の国会運営には厳しく抗議をしたいと思います。委員会、本会議、残念ながら職権で開かれるということが随分と多くなってまいりました。久しぶりにこの本会議に登壇しましたけれども、やはり見渡す限り自民党がふえた、そのせいだと思います。つくだ煮にしたいぐらいいっぱいです。そんな中で、どうしても傲慢さや強引さが出てきているんだろうと思います。
私は、おなかの回りが八十五センチを超えたメタボリックの注意が必要な男でありますが、ハウスの中で、四百八十人の定数の中で三百を超える政治勢力となると、どうも注意すべき兆候がいっぱい出てきているんだろうと思います。
度量の大きさが示されるべきでありますが、残念ながら、了見の狭い強引な運営ばかりが目立っていると言わざるを得ません。
先週、十三日の金曜日、残念ながら教育再生に関する特別委員会が議決をされました。国会法の第四十五条によりますと、各議院は、その院において特別な案件と認められた場合とか、あるいは常任委員会の所管に属しない特定の案件については特別委員会で審議することができると規定をされています。
しかし、今回の特別委員会設置の理由は、特段の理由が見当たりません。あえて言うならば、政府提出の法案の時期が大幅におくれにおくれたがゆえに、審議を迅速にするために、特別に、便宜的に設置をした委員会と言わざるを得ません。これは極めて残念なことであると思いますし、恐らく、与党の文部科学委員会の理事の皆さんや委員の皆さんでも、これは本来、文部科学委員会でこれまで議論されてきたし、これからもそうだと思っている方が本当は多いのではないかと私は思います。
さて、そうした中で、具体的な質問に入っていきたいと思いますけれども、先ほども少し議論が出ていましたが、今回の三法案の提出に至る過程において教育再生会議、中教審の審議がありましたが、余りにも大急ぎの突貫工事のように見えました。その結果出てきた今回のさまざまな個別法案は、戦後教育からの脱却というそんな言葉を言う前の、何か貧弱な法案ばかりであります。
私は、教育再生会議というのは、本来ならば、もっと奥の深い、奥行きのある議論を丁寧にする組織だと思っていました。地域社会と学校のあり方とか、家庭と学校のあり方とか、地域再生のあり方がなくして教育再生はありません、家庭の再生なくして教育再生はありません。まさに、教育再生とは日本再生そのものであります。その割には、残念ながら、そうしたしっかりとした議論がなされたようには思えませんでした。その最大の理由は、恐らく、私は、教育再生を一番最初に唱えて、今国会でも重要課題と位置づけている安倍総理の理念そのものにあると思います。
そこで、安倍総理にお尋ねをしたいと思います。どのような理念に基づいてこの国の教育を再生しようとしているのか、ぜひしっかりとお答えをいただきたいと思います。
(拍手)
さて、個別法の質問に入ります。まず、教員免許法改正案についてであります。
私も子供が二人います。子供たちの成長過程を見てまいりました。一番感動的だったのは、はいはいをしている赤ちゃんの段階から、立ち上がろう、立ち上がろうとしている、その満一歳前後だったと思います。とても感動的でした。赤ちゃんは、親が教えなくても、立ち上がろう、立ち上がろうとする。転んで滑って痛い思いをしても、ずっと寝ていた方が楽だという赤ちゃんはいないと思いました。みんなが伸びよう、伸びようとしているんだと実感をしました。その伸びよう、伸びようとしている新しい芽をしっかり学校教育の現場で受けとめて、また、その任に当たる教師がしっかりしているかどうか。これは大事な論点だと私は思います。
そこで、政府案を見ましたが、真に教員の質と能力を高めるための内容になっているかというと、そうではなく、教員の免許期間を十年間として定め、三十時間の講習をして更新をするという内容、それだけです。その貧弱な内容で本当に教育再生ができると思っているかどうか、これについても総理にお答えをいただきたいと思います。
さらに、具体的な質問は文部科学大臣にお尋ねをいたします。
十年ごとに三十時間講習で更新。その講習の中身はどうなっているか、どこで講習を受けるのか、だれが認定をするのか、どういう費用負担になっているのか、具体的な仕組みについて御説明をいただきたいと思います。
なお、民主党も新免許法案を提出しました。この中身については、せんだっての衆議院文科委員会において、法案提出者の藤村修議員と伊吹大臣との間で質疑応答がありました。
民主党は、教員養成の段階から大幅に資質向上を図ろうとし、一定の実務経験を経た後に上級免許状を創設するなど、総合的、抜本的改革案になっています。そのことは、せんだっての文科委員会のやりとりで、伊吹大臣の表情を見ていますと、民主党案の方がいいんじゃないかなという顔を私はされていたと思います。ぜひきょうは、民主党案についての伊吹大臣の本音の御評価もお伺いをしたいと思います。
さて、中教審の答申によりますと、「教員として必要な資質能力は、」「時代の進展に応じて更新が図られるべき性格を有しており、」という表現がございます。これは、ほかの専門職種にも当てはまる表現だと私は思います。例えば、医師として必要な資質能力は、時代の進展に応じて更新が図られるべき性格を有しており等々、他の専門職種にも十分当てはまる表現です。
そこで、この点については総理にお尋ねをいたします。今回のような免許更新制度を今後他の専門職種にも適用するつもりなのかどうか。特に、医師免許は取り急ぎ検討すべき課題だと思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
次に、不適切と判断をされる教員の問題であります。いわゆる外れ教師と言われています。
私どもも入学式や始業式にお招きをいただくことがたくさんあります。そのときに一番異様な空気となるのは、担任教師の発表のときです。みんながわくわく、どきどきしながら、ことしは外れか当たりかを見ています。ことしも外れたわとどよめきが起こるときも私は何回か見たことがありました。
外れた教師が学級担任になったときの教室は悲惨です。できる子は抑えられ、できない子は置いてきぼり、豊かな子は奪われて、気の弱い子はいじめられて、だれにとっても不幸な空間になりかねません。そうした意味からも、指導力の不足した教員あるいは不適切な教員への対策はしっかりと講じるべきだと思います。
でも、政府案を見ますと、都道府県の教育委員会が不適切を認定するという内容で、その後、研修をさせたり、研修の効果があるかどうか、またその認定があるようですが、私は、肝になるのは、この不適格の認定基準だと思うんです。その不適格の認定基準について伊吹文科大臣はどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいというふうに思います。また、この政府の仕組みは有効な対策として期待できるのかどうか、その効果についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
次に、地教行法改正案についてお尋ねをします。
昨年は、いじめによる自殺が多発をしたり、あるいは未履修問題が社会的な問題になってクローズアップされました。その際に、教育委員会が適切に機能していなかったという事態が随分各地で散見をされました。教育委員会の抜本的な改革は必要だと思います。
しかし、今回の改正案を見ると、都合よく国の関与が教育委員会にできるようになっているだけであって、教育委員会制度そのものは温存をされています。文部科学大臣が教育委員会に是正要求や指示が出せる権限が盛り込まれました。しかし、先ほど申し上げたいじめの問題やあるいは未履修問題は、長い間放置されてきた文部科学省の感度の悪さも同時に指摘をされたはずでありました。国の関与を教育委員会に強めるだけで、一体これが有効な方策になるのかどうか、私は極めて疑問に思います。この点についての文科大臣のお考えをお聞かせください。
そして、この是正要求であるとかあるいは指示というやり方、地方分権の流れに逆行するのではないかという懸念があります。地方団体の長もしかり、そして、政府の規制改革会議でもそういう指摘があります。分権の旗振り役である総務大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。
私立学校に関する教育委員会の関与規定も盛り込まれました。私学の自主性や振興などにどのような影響があるか、これについては、文部科学大臣と総務大臣、お二人にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
さて、昨年の教育基本法の改正によって、今回の学校教育法の改正がありました。中身は、義務教育の目標として、「規範意識」であるとか、あるいは「我が国と郷土を愛する態度を養う」、こういう項目が新たに規定をされたわけであります。
私ども民主党は、心や感性は強制できるものではないという立場であり、昨年提出し、今国会でも提出をしていますが、日本国教育基本法の中で、「日本を愛する心を涵養し、」という表現をさせていただいています。水が自然にしみ入るように、じっくりと養い育てるという考え方です。これに対する、政府の先ほどの「規範意識」や「我が国と郷土を愛する態度を養う」というやり方、教育現場ではどのように行おうとしているのか、文科大臣にお尋ねをしたいと思います。
中教審では、義務教育年限の見直しの議論もあったはずであります。九年を延長すべきという議論もあったと聞いていますが、最終的には九年のままとなりました。その理由を文部科学大臣にぜひ明らかにしていただきたいと思います。
義務教育年限については、総理の御著書の「美しい国へ」にも明記されている部分があります。「義務教育の年限を何年にするかについても検討し直すことになる。」と明らかに書いていますので、総理は、今後、義務教育の年限の見直しを行うおつもりがあるかどうか、お考えをお聞かせください。
最後に、忘れないように、民主党三法案についてでありますが、それぞれどのような点が学校の教育力向上に資するものか、どうぞお答えください。質問は簡潔でしたが、御答弁はじっくりと。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
久しぶりに登壇をしましたけれども、ちょっと前列からは随分にぎやかな御声援をいただきました。我が国と郷土を愛する態度を言う前に、やはり、心を澄まし、耳を傾ける態度をぜひ自民党で教育されることを強く申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。
どうもありがとうございました。
(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
野田佳彦議員にお答えをいたします。
教育再生についてお尋ねがございました。
教育の理念については、昨年、教育基本法を改正したように、人格の完成、国際社会の平和と発展への貢献といった普遍的な理念を継承しつつ、道徳心、みずからを律する精神、公共の精神を養うことなどが、今日、極めて重要であると考えております。子供たちが豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間として育成されるよう、教育再生を内閣の最重要課題として位置づけ、教育改革を一層推進してまいります。
免許法案についてお尋ねがございました。
よき先生こそが教育再生のかぎを握っています。すべての先生が人間的に児童生徒の信頼を得、最新の知識、技能を身につけ、自信と誇りを持って教壇に立てるように、十年に一度の教員免許更新により資質と能力を改めて磨くことは、教育再生に資するものと考えます。
免許の更新制度についてのお尋ねがありました。
各種の免許制度については、それぞれの制度の置かれている状況にかんがみ、そのあり方を考えていくべきであると思います。医師免許についてさまざまな議論があり得ると考えられますが、現在、各学会等において、さまざまな研修の機会を活用した資質向上の取り組みが行われています。まずは、これらの取り組みを積極的に推進することにより、医師の資質向上に努めていくことが大切であると考えています。
義務教育年限の見直しについてのお尋ねがありました。
現在の小中学校の九年間という義務教育年限は国民の間に定着をしており、その見直しには国民の理解が必要であります。また、義務教育年限の延長は、学校教育制度のあり方にかかわり、多額の財政負担を伴う問題であるため、当面は、義務教育年限は、現行制度のとおり、九年とすべきと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。
(拍手)
〔国務大臣菅義偉君登壇〕
○国務大臣(菅義偉君)
まず、地方教育行政法改正案と地方分権との関係についてお尋ねがありました。
今回の地方教育行政法の改正は、いわゆるいじめ問題への適切な対応など、内閣の最重要課題であります教育再生の実現に向けた関係法律の改正の一環として、自治事務について認められた関与の範囲内で行われるものであります。したがって、内閣の最重要課題であります教育再生と地方分権改革を両立させ、いずれも強力に推進するものであると考えております。
私立学校に関する教育委員会の助言、援助規定と私学への影響に関するお尋ねがありました。
地方教育行政法改正案では、知事が私立学校に対応する際には、教育委員会に助言、援助を求めて、教育委員会の知見を活用できるようにすること等の規定が盛り込まれております。これは、私立学校における教育に関する最低限の基準の確保の必要性と、私学の建学の精神や独自性等の尊重の両面に配慮して盛り込まれたものと受けとめております。
以上であります。
(拍手)
〔国務大臣伊吹文明君登壇〕
○国務大臣(伊吹文明君)
野田議員にお答えを申し上げます。
先生がおっしゃったように、心を澄まし、耳をそばだてて聞いておりましたが、何分にも直前に御質問の予告をいただきましたので、漏れがないことを確信してお答えをいたしたいと思います。
まず、免許更新制についてお尋ねでございます。
講習の内容につきましては、平成十八年の中教審の答申で、まず一つに、使命感や責任感、それから教育的愛情、二番目に、社会性や対人関係の能力、それから、幼児児童生徒の理解や学級経営等の力、教科、保育内容の指導力、こういう事項について研修をしろということが言われております。
これから、民主党も御対案をお出しいただいているわけですから、両々相まって御審議をいただいて、いいものを吸収させていただいて、具体的な内容を決めたいと思っております。
それから、講習の主体でありますが、まず開設は、基本的には、教員養成を行う大学が主体となります。都道府県教育委員会等も研修の開設をすることは可能としたいと思っておりますが、同時に、講習の修了について、これは当然開設主体が認定をいたしますが、その確認は、必ず都道府県教育委員会が行うことといたしたいと思います。
費用ですが、これは先ほど馳議員にもお答えをいたしましたように、今後、御本人とそれから地方自治体と国とのお一人当たり約三万円程度の講習費用の分担について、国会の御議論を踏まえて検討させていただきたいと思います。
それから、民主党の新免許法案についての評価ですが、私の文部科学委員会の表情から、どうもその民主党案がいいというような表情をしていたというお話ですが、私は、余り心のうちは表情に出ない男だと言われております。多分、あのときに、私の表情は、いいものであっても、経費の負担だとかあるいは六年制による新しい教員の採用だとかを考えると、実務的にも実現可能性がどれほどあるのかなという表情をしていたんではないかと思います。
それから、指導力が不適切な教員についてのお尋ねでございますが、指導力が不適切な教員の認定基準については、当然これは、任命権者である都道府県、指定都市の教育委員会が、地域の実態に応じて、その権限と責任において策定しなければならないものです。もちろん、その基礎には、評定者である校長の評定があることは言うまでもありません。
文部科学省といたしましては、この認定基準の参考となるようなガイドラインをできるだけ早く、法律が通過いたしましたら作成をさせていただいて、各教育委員会に周知徹底することによって全国的な水準を一定に確保したいと考えております。
同時に、任命権者において、指導が不適切な教員に対する人事管理システムについてのお尋ねでありますが、今回の改正案はその改善を図るための法律上の手続を規定するものでありまして、現法律のもとにおいても、教育委員会の決断とやる気があれば実はこのことはできるわけでありますけれども、さらにそのことを促進するために、今申し上げたように手続等を明確にしたものであります。
それから、地教行法の改正について、なぜ指示や是正の要求を規定することにしたのかというお尋ねであります。
これはもう先生から先ほど来お話がございますように、教育委員会の事務については、本来、任命された首長、それから任命に同意した地方議会が地方自治の力を発揮して、自浄能力を十分に発揮していただく、つまり、地方自治の力が試されている分野だと私は思います。このことが前提であることは申すまでもありません。
しかし、教育委員会やあるいは教育委員を任命された首長、承認をされた地方議会が自浄能力を十分に発揮されずに現に起こってしまったのが未履修であり、いじめへの対応だと思いますので、十分な責任を果たせない場合には、憲法に保障する国民の権利を守るために、国が必要最低限の関与を行うということがこの法案の趣旨でございます。
したがって、地教行法を改正して、教育委員会が法令上の規定に違反したり、事務の管理、執行を怠っているという場合には、教育を受ける権利が侵害されているということが明らかなときに講ずるべき措置として是正の要求を示しているということであります。また、教育委員会が法令の規定に違反したり、事務の管理、執行を怠っている場合には、生徒等の生命身体の保護のための緊急の必要があり、他の措置によっては是正することが困難なときに初めて指示を行うわけですから、地方自治との関係においては、先ほど総務大臣が御答弁になったとおりであると思います。
次に、私立学校に対する関与でありますが、今回の地教行法の改正の趣旨は、私立学校において学校教育法等の国の法令に基づき適正な教育が行われることは、これはもう当然のことであって、知事が必要と認めるときは、教育委員会等に対し、学校教育に関する専門的な事項について助言または援助を求めることができるという規定を設けております。私立学校に対する知事の権限を侵しているものではありませんが、知事に地方自治の力を十分発揮していただくための突っかい棒をつくっているというふうに御理解をいただきたいと思います。
それから、義務教育の目標として新たに示された規範意識や郷土を愛する態度をどのようにして養うのかという御質問であります。
今回の学校教育法の改正では、教育基本法が既に国会の議決を受けているということを踏まえまして、義務教育の目標として、「規範意識」や「我が国と郷土を愛する態度を養う」ということを定めております。今後、国会での御審議もいただきながら、学習指導要領を改訂することといたしておりますので、学校では、道徳教育、社会や人々との触れ合いの体験活動、我が国や郷土の伝統や文化の学習の充実などを通じまして、義務教育の目標として新たに追加された規範意識や我が国と郷土を愛する態度をどのように養うかということの涵養に努めてまいりたいと思います。
それから、中教審で義務教育の九年を延長すべきという提案があったが、最終的には九年としたのはなぜかというお尋ねであります。
中教審ではいろいろな御意見があったということは確かでありますが、現在の国民間には、一応、六年、三年という義務教育期間が定着をしているということと、先ほど馳議員から御質問があったように、上に延ばすか下に延ばすかはともかくとして、この九年を延長するということは、義務教育は無償が原則でありますから、膨大な国民負担を伴うということは、もうこれは先生御承知のとおりです。したがって、今後、国民負担のあり方等々も含めて、この点は考えさせていただきたいと思います。
以上、メモいたしておったので抜けているところはないと思います。
(拍手)
〔藤村修君登壇〕
○藤村修君
野田佳彦議員からの問い合わせは、私ども民主党から提案された三法案について、それぞれどのような点が教育力向上に資するものになると考えるか、こういうお問い合わせでございました。
私どもが今回提出いたしました教育力向上三法案は、必ずしも政府提出の三法案に対するそれぞれの対案とはなっておりません。私どもの三法案の目的は、学校教育の質の向上、この一点にあるわけであります。
学校教育の質は、施設設備、カリキュラムなどはもとより、教育者として教壇に立つ教員の資質、能力、人柄による部分も相当大きいと考えます。そのために、教員の養成と研修、免許については、今回提出いたしました教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案において考えを示しております。
具体的には、まず、そもそもの教員の指導力の基礎をつくる教員養成課程を基本的に修士レベルとし、免許の取得までに、現行では二週間とか四週間の教育実習でお客様的経験をするんですが、一年の教育実習を義務づけ、例えば各学校における副担任等として学校実習を積むことで、みずからの適性を判断し、本職の教員になる前にみずからの学ぶべき点を確認の上、本職の教員としてスタートしていただくように仕組んでおります。
次に、教員免許状の取得後、原則として十年を目途に、学び直しの機会を設け、自己研さんを奨励するため、教員等の経験八年と教職専門大学院における研修一年を修了した者には、より専門的な力を持っていると認定し、専門免許を授与することとし、その免許を新設いたしました。
また、専門免許未取得の免許者に対しては、原則として十年ごとに講習を実施することとし、その最初の研修機会として、現行の教育公務員特例法で定めておりますが、実施されている十年経験者研修、これを活用し拡充したい。個々の教員の学びのニーズに対応できるよう、選択科目を増強し、より効果的な学びの機会にすることを想定しております。
また、教員免許状の要件は国が定めており、またその養成課程も国が所管しております。教員免許はいわば国家資格であります。しかし、免許の授与のみが都道府県教育委員会等、あるいは地方分権一括法において自治事務となっている。その点を、我々は、これは都道府県の自治事務とされても都道府県にはさほどの裁量がありません、国が最終的に責任を持つという考えから、民主党の日本国教育基本法の理念に基づき、免許権者は国といたしております。
次に、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律でございますが、これも、民主党の日本国教育基本法の理念を実現するための制度改正の法律でございます。
そのポイントは、学校ごとに、保護者、地域の方々、有識者、校長、教員等から成る学校理事会を設置し、その合議機関での機関決定によるところを大きくし、現場に権限移譲を図る趣旨でございます。
地方分権がうたわれて長い時間が経過していますが、特に公立の義務教育諸学校に関しましては、保護者や地域住民の声が取り入れられる手段やルート自体が存在しておらず、地域の個性を生かし、地域コミュニティーと協働してという趣旨から見ても、これから、本来の地方分権を図る上であるべき姿として考えた姿でございます。
次に、学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案がどのように教育力向上に資するかについて御説明いたします。
義務教育に係る最終責任は国にあるため、財源的な最終保障等は国の責務であることを明確にしております。
現在中断されている第八次定数改善計画、五年ごとに改善されている第八次でございますが、これが閣議決定案件ということで法定されていないことから、簡単に、今、凍結されているのが現状であります。それではその時々の政権の考えに振り回され、着実な実施は確約できません。そこで、定数改善や教職員配置に係る項目を法定することといたしております。
また、配置充実を図るために阻害要因となっている、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律の一部改正として、同法五十六条三項の規定を削除し、教員の定数削減に歯どめをかけることを附則で定めております。
端的にまとめますならば、教員の養成課程を充実させ、教員のニーズに見合った研修機会を担保し、常日ごろから教職員の資質、能力の維持向上に努めること、学校理事会に権限の大幅移譲を図ることで、学校運営や教員人事に関しても保護者、地域の声が反映される道を確保することで、真の分権の理念にかなうと考えますし、地域コミュニティーの協働を仕組んだものであります。その上で、国の責任として教職員配置等、つまりは教育予算に関しては国が最終的に責任を負う、このことを明確にしたところでございます。
まずは、これら三法案によって確かなる学校教育力の向上を図ろうとしているところでございます。
以上でございます。
(拍手)
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