○保利委員長
次に、藤村修君。
○藤村委員
民主党の藤村修でございます。
私は民主党の教育力向上三法案のそれぞれの提出者でございますのでそれには質問ができませんので、きょうは、政府提出の三法に対する質問を中心に教育の問題を考えさせていただきたいと思います。
まず、安倍総理も、なかなか、格差社会だということを、きょうまでは、もし格差があればというふうな前提でいつもお答えになっておりました、このところは割にきちっと格差というものを認識いただいて、いろいろな分野で格差社会ということを多分御発言もされているものと思います。
私は、きょうは、教育における格差ということをまず最初にテーマにしたいと思います。
今、景気がよくなった、全体的には長期に景気が上昇していると言える中で、どうも国民的実感はやはり、そうなのかな。それは、何より所得が伸びていない、こういうことだと思います。
いわゆる家計の所得は、六年前の小泉政権発足当時を一〇〇としたときに、今も実は一〇〇弱ぐらいでありますから。実は、極端な例でいいますと、私ども大阪でございますが、大阪のタクシーの運転手の皆さんの平均の所得が、小泉政権スタートのときに一〇〇、今現在五七、八になっております。半分に近く、非常に厳しい状態でございます。
この問題はちょっとここの委員会でやる話ではないんですが、つまり、所得が今相当、職種によっても業種によっても本当に大きく差が開いてくる中で、家計の所得の差が子供の教育にもやはり当然影響してくる。きょうの朝、安倍総理は、裕福なうちの子たちがいい教育を受けるだけではいけない、ということは、逆に返せば、所得が低い家庭でも、特に義務教育、ちゃんと教育が受けられる社会を、これは国がやはり責任を持つ、こういうことであろうと思うんです。
安倍首相に、まず冒頭、教育の分野で格差があれば、それはどういう種類の格差があるんだろうということを、御認識をお伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣
まず、冒頭申し上げておかなければいけないことは、私、格差がないということを申し上げたことは一回もないわけでありまして、格差は常に世の中には存在する。そして、その格差が、不公平な結果生まれた格差であってはならないし、そして我々の許容できない格差になってはならないし、そういう方向で拡大してはならない。また、格差が固定化してはならないということを申し上げたわけであって、格差があればというのは、表現の中で使ったレトリックの一つであるというふうに御了解をいただきたい。
そこで、時代がどういう時代になろうとも、教育において、両親の収入によって子供たちが受けることができる教育に格差が生じてはならない、これはまさに私はそのとおりだろう、こう思います。
そして、教育の場において格差が発生するということはどういうことかといえば、親の収入の結果によって子供が受けることができる教育の水準が決まっていくということであれば、これは格差になってしまう。そしてまた、住んでいる地域において、その地域の自治体の状況によって提供できる教育の水準に差が出てくるとすると、これも格差であろう、こう考えるわけでございます。
こういう格差が生じないようにしていくことは我々の責任である、このように思います。
○藤村委員
今二つ挙げていただきました。一つは、親の所得や家計の状況で子供が受ける教育が差があってはいけない、あるいは受けられなくては困るということ。それから、住んでいる地方自治体の財政状況、これで、地方と、あるいは大きなところとで大きな格差があってもいけない。こういう二つを挙げていただいたので、その二つを順に一つずつ、ちょっと具体的に問題にしたいんです。
その前に、今の格差問題で、安倍首相が常に再チャレンジという言葉をおっしゃっている。つまり、ニートとか、そういう今の若者の中で、もう一回ちゃんとチャンスを与えるという、このことは私も大事だと思います。
ただ、実は教育という分野は最初のチャレンジであります。生まれて、幼児教育、小学校、中学校、まさにこれは最初のチャレンジ、今やもう高校まではほぼ全入に近い状況でございますので、高校までの普通教育において、今の二つの理由で差があってはならない、最初のチャレンジに差があってはならない、このように考えるわけでございます。
一つ、まず具体的に、保護者、親の所得や家計状況での格差の問題で、実は今は、両親がいてちゃんと収入があってという、そこにも差があるわけですが、一方、いわば親を亡くした子たちがあります。これは、いろいろな理由で、事故であるいは病気で親を亡くし、遺児の家庭になっている。その遺児の家庭が、今、高校へも進学がままならない、非常に厳しい状況になっている。その原因は、一つはやはり、今の方針の中で、遺児年金のカットとか児童扶養手当のカットとか生活保護の母子加算カットなど、政策的な部分での影響もあります。
ですから、そういう部分で、特に親を亡くして、あるいは母親一人で、母子家庭で、しかし頑張って、高校へも、できれば大学へも行きたいという人たちの希望をかなえる、これが今民間の事業で、あしなが育英会、あしながおじさんの募金運動がございます。このあしなが育英会というところで、全国的に今それなりに知られ、そしてそこで、たくさんの方々が高校の奨学金あるいは大学の奨学金を受けていらっしゃいます。
このあしなが育英会に対しましては、実は安倍総理は非常に、陰徳というのか、陰ながら応援をしていただいております。ここの育英会というのは、原資は募金です、国民的募金です。昨年の十月、募金運動が始まったときに、この募金運動の学生たちのメンバーと安倍総理は面談いただいて、大変激励をいただいた。本当にありがたかったと言っております。また、昨年十二月には、世界の遺児、これは日本だけじゃない、世界の遺児の絵の展覧会、これにも安倍首相は御出席をいただいた。そういう意味では、非常に御支援をいただいていることに、私は、そのメンバーというか、学生時代からその運動に取り組んだ一人として、ここで御礼を申し上げたいと思います。
そこが今、一つ壁を持っています。というのは、中学三年生の人たちに、来年高校へ行くにはこういう奨学金制度がありますよという広報の問題、ところが、ここに、その壁というのは、個人情報保護法という問題が非常に大きく今影響しております。
これはちょっと順番を変えますが、個人情報保護法について、担当は高市大臣でございますので、まず、今、個人情報保護法が、内閣、国民生活審議会の個人情報保護部会ですか、ここで、来年が見直しの年になるということで、見直し論議がされているということでございますが、個人情報保護法の少し過剰反応、我々も時々、特に選挙において名簿が出てこないとかいうのも今非常に影響しているんですが、一般的にいいますと、例えば町内会で町内会の名簿がつくれない、連絡網がつくれない、あるいは民生委員の方々からも、市町村から提供されていた高齢者情報が法施行後は提供しにくくなり、されにくくなり、学校では、今学校の緊急連絡網ができないという声もたくさんあるし、ちょっと極端なところは卒業生名簿がつくれない、こういうこともあるのを私も耳にしております。
つまり、個人情報保護法というのは、本来は、こう書いてありますね、目的のところに。「目的」、一条ですが、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」ですから、この目的に対して、やや過剰反応というんですか、あれもだめこれもだめみたいな動きが今非常に多くある中で、この状況を今どう審議されているのか、まずそのことだけ前提として伺いたいと思います。
○高市国務大臣
藤村委員御指摘の点と同じ問題意識を私も持ちました。
就任早々に、個人情報保護に対する国民の意識は確かに法施行後高まってきましたし、それぞれ企業でもお取り組みは進んできていると思うんですが、ただ、必要なときに、例えば人の命を守ったり身体財産を守らなきゃいけないときに必要な情報がとれない。火事のときに、高齢者の方ですとか障害者の方の情報が消防団にすら伝わっていない、また、伝えられないと思い込まれているというようなケースも多く耳にしましたので、まず、内閣府内で、国民生活局に対しまして、過剰反応の問題にきっちり取り組むようにという指示をいたしました。
それで、昨年でしたら十八年の二月なんですけれども、現在関係省庁で、個人情報の保護に関係する省庁の連絡会議というものを持っております。その中で、いわゆる過剰反応への対応を含めて申し合わせを行いまして、内閣府の中でも、皆さんに判断していただきたいように方針を示しまして、各省庁で今お取り組みをいただいているというところでございます。
また、内閣府のホームページでも、一般の方が、わからない、迷ったというときに見ていただけるように、QアンドA形式で、こういった場合は情報の提供は大丈夫ですよといったような形で掲載をさせていただいております。
これを、必要に応じて適宜見直しもしていく、各省庁の取り組みについて改善もしていく、こういった申し合わせになっております。
○藤村委員
具体的には、安倍首相に聞いていただきたいのは、全国の中学校の三年生の方々に、今、民間のあしなが育英会、これは広く一般の方の募金が集められて、それを奨学金で出す高校奨学金、その予約制度を、全国の中学校に、こういう制度があります、ですからおたくの中学校で母子家庭で困っている人があればぜひ名簿を下さいということになるわけですね。やはりそこへ通知するわけです。
すると、これは、個人情報保護法ができる〇四年までが二千七、八百、三千ぐらいの名簿をちゃんと出していただいていたのが、二〇〇五年四月に個人情報保護法施行となりますと、すぐに、〇五年は一千四十六、〇六年は四百三十六。この表をたしか資料としてお出ししています。がた減りになった。
これはつまり、親、おやじが亡くなって母子家庭も大変多いわけですが、やはりまず日常の情報になかなかうまくアクセスできていない、そして、だからそういう制度があるのにまたそれを利用できない。本当に二重の損失になっておりまして、このことについて、個人情報が、明らかにこの〇五年四月からがたっと落ちた、個人情報保護法、本当にこの一点に尽きるのではないかと思うので、この点についてちょっと所感を述べていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣
先生がずっとかかわってこられたこのあしなが育英会が多くの遺児に勇気を与え、そして支援をしてこられた、そしてまた、それをずっと支援してきた藤村先生に大変敬意を表したい、このように思う次第でございます。
私の内閣の副長官の下村副長官も交通遺児でございまして、彼は、中学から高校に進学する際、この育英会の奨学金の存在を知らなかったわけでありますが、先生から言われて、そういう奨学金があるから君も高校に行けるよと言われて、この奨学金のおかげで高校に行き、そして奨学金のおかげで大学に進んだわけであって、この奨学金制度、あしなが育英会があったからこそ現在の下村官房副長官は存在する、こういうことではないか、こう思うわけであります。
そこで、この個人情報保護法との観点において、やはりまだまだ知らない交通遺児の方々、御本人が知らないということも、下村さんも知らなかったそうでありますから、そういう例はたくさん恐らくあるんだろう、このように思いますので、そういう広報活動についても、我々もお手伝いできるならばお手伝いをしていきたい、こう思うわけであります。
また、個人情報保護法との観点においては、あらかじめ生徒本人から適切に同意を得ること等により、学校が、奨学団体を含め第三者に対して生徒の個人情報を提供することは可能であるということでございますから、学校等はむしろ積極的に、許可をとった上において、個人情報保護ということで過度に萎縮することなく、育英会とも連携をとりながら、多くの遺児たちを支援してもらいたい、このように思います。
○藤村委員
あらかじめ生徒の云々というときに、それがなくても、この法二十三条で、「あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」ただ、次の場合を除くということで、「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要」であってという条項もございます。ですから、こういう民間の育英団体等、つまりは、本当に個人の利益になる、そしてそれを知らなかったことで大変また損失があるというふうな、そういう善意の団体等についてこの規定が適用できないものかどうか。
これは担当大臣ですかね。
○高市国務大臣
この個人情報保護法二十三条第一項三号でございますけれども、ここにあります「児童の健全な育成の推進」に関して想定しているものは、例えば、児童生徒の問題行動について児童相談所や学校などが連携して対応する際に、これらの機関が問題行動に係る児童生徒の情報を交換する、こういった場合ということになっているんです。
今御指摘の、民間の育英団体が中学校に対してというときに、児童の了解がとれたらこれで何の問題もないんですが、どうしても、例えば遺児であることを知られたくないというようなことで了解がとりにくい、こういう場合にどうするかということでございます。実は、これは個人情報保護法制定時には、ちょっと、了解がとりにくいケースも含めてということでは、想定していなかったケースであるということを正直に申し上げなければなりません。
これは、今後関係省庁と連携をいたしまして、実態を十分に踏まえた上で、どういった形で対応できるか、委員の御指摘を踏まえて検討させていただきます。
○藤村委員
文科大臣にも、簡単なコメントで結構でございます。かつて、実は文部省時代には、文部省の添え書きといいますか、全国の中学校に、こういう制度があるからぜひ協力いただきたいというようなことを出していただいたこともございました。ただ、今、個人情報保護法の問題は検討していただくということですから、ぜひ御協力をいただきたいと陳情をしたいと思います。
○伊吹国務大臣
法律の所管大臣において適切に対応していただくのが筋だと思いますが、「児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難」なときという、この本人の同意を得るのが困難だというのが、同意を求めたけれども嫌だと言ったのか、もう物理的に多くてとても無理だという法解釈なのか、この辺は少し問題があると思います。
しかし、いずれにしろ、あしなが奨学金のような団体が悪用するとは思えないんですよ。しかし、善意でやったことが結果的にアリの一穴になって個人情報が変なことに使われるということがあると困りますから、それを担当大臣は今後の検討課題に譲られたんだと思いますから、何か行政的に添え書きをすればそういうものを限定的に出していただけるというようなことであれば、私どもは幾らでも協力させていただきます。
○藤村委員
先ほど安倍総理は下村官房副長官の名前も挙げていただいて、私は、彼は学生時代からずっと関係がある、知っている人ですから、大変協力をいただいていること、また今後も協力をしたい、こういうことで、感謝申し上げます。
次に、もう一つは、住んでいる場所の財政状況というか、これは破綻した自治体において、夕張市の話であります、義務教育の責任を引き続き担わせ続けることというのが相当苦しくなるのではないかと想像するわけです。
そこで、憲法二十六条のひとしく教育を受ける権利を、まあ夕張市の場合と言ってもいいんですが、そこの義務教育において損なっていないだろうか、こういうことを、これは文部科学大臣にお答えいただきましょうか。
○伊吹国務大臣
後ほど総務大臣からお答えがあるのが適切だと思いますが、一般論として言えば、先生御承知のように、教職員の給与は国と都道府県でこれを負担しておりますし、授業料は義務教育は無償でありますし、教科書も無償の供与をしているという状態でやっているわけですね。
ですから、基本的には、地方自治というものの権利を主張する場合は、必ず失敗をしたことに対する義務が伴いますので、であるからこそ、議会の機能というのは極めて大切なんですね。
夕張に任せておくだけではなかなかうまくいかないだろうという御判断が今ありましたけれども、総理からもいろいろ御指示があって、総務大臣がわざわざ現地にごらんに行かれて、教育等の部分についてはやはり総務省として最大限の協力をしようというお気持ちを私も伺っております。文科省としては、もう補助金はほとんど地方へ行っちゃって、三位一体で、どんがらのような役所になりましたけれども、若干残っている、例えばスクールバスの補助とか、こういうものを使って、もし学校が統合されるような場合には対応したいと思っておりますが、総務大臣は大変温かい配慮をしておられると思いますので、総務大臣から御答弁をお許しいただければと思います。
○藤村委員
今文科大臣がお答えいただいて、教員は北海道で手当てする、義務教育国庫負担費三分の一がある。
ただ、夕張市の今年度、この四月からスタートした年度の予算で、その中に教育費という項目がありまして、ここが、前年度からいうとマイナス五三・八%、平成十八年度より半分以下になっている。この教育費は、それは市が管理者として出す教育費で、例えば小学校就学援助費とか、中学校管理業務費とか、中学校校舎維持費等々と細かくあります。ただ、去年まで一〇〇だったのが、ことしからとにかく市の負担が五〇になりましたというと、それは明らかに義務教育のサービスが下がっている、こう言えると思いますね。
ですから、義務教育においてはそういうことがないような手だてを、総務大臣及び文科大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○菅国務大臣
夕張市の再建につきましては、総理から、お年寄りと子供には十分配慮するように、そういう指示を受けまして、私、昨年、夕張を訪問してまいりました。
今委員が御指摘のように、十九年度の予算でありますけれども、教育は三億七千四百万円、五三・八%減少しております。その中で、小学校費、中学校費は九千七百万、三二・三%減であります。
主な要因は、市単独の事務職員や給食職員の五人の減少、あるいは、今後学校統合を視野に入れておりますので、新たに工事請負費だとかあるいは修繕費、これは当然減少しておりますし、清掃委託料の節減等であります。特に、小学校は四百十四人で今七校あるのでありますけれども、最終的に一校か二校に統合する、あるいは、中学校は二百四十二人で四校ありますけれども、これは一校に統合する、そういうことであります。
こうした経費の減少というのは、効率的に事務を行っているほかの地方自治の団体、公共団体等参考にしながら、学校の管理費を中心に歳出の削減を図っておりまして、児童生徒の教育そのものの内容水準の低下にはつながらないものであります。そうしたことも、北海道から私は報告を受けております。
したがって、義務教育をしっかりと受けることができるように、これからも配慮していきたいと思います。
〔委員長退席、小坂委員長代理着席〕
○伊吹国務大臣
今総務大臣からもお答えをしましたが、六億九千万円という、三億七千万の減になっております。これはもう先生がおっしゃったとおり、予算だけ見ると五三・八%という大変な教育水準の低下なんですが、このうち、小学校費、中学校費というのは九千七百万なんですね。あと、社会教育と文化団体等への補助、これが二億二千七百万の減になっております。
ですから、将来の統合を前提としてクラスの統合その他をやっておりますので、状況を見ながら、私どもの手持ちのお金で何かお手伝いできることは積極的にやらせていただきたいと思っております。
○藤村委員
ぜひとも、教育の再生の特別委員会ですから、夕張は本当に再生しないといけないわけで、総務大臣及び文科大臣が本当に協力連携を深められて、適切な対処、対応をしていただきたいと思います。
次に、政府提出の教育職員免許法一部改正、この点に絞ってきょうは質問をさせていただきます。
政府の免許法一部改正、これは、端的に、簡単に言ってしまえば、教員免許状に十年の有効期間を設けて、そして十年ごとに三十時間程度の免許状更新講習を実施し、そして修了した者に免許状の有効期間を更新する。実は、免許法に関してはこれだけの法律の改正であります。これは一応、中教審答申を踏まえてということでございますが、昨年七月に出された中教審答申においては、実は、教員養成課程のことをやはり相当細かく答申されておりますが、ここには今回全く手がつかなかったということでございます。
これは何か検討はされたのか、いや、今後改正案をまた出されるのか。教員養成課程のこと、一番大事なことですが、このことについて文科大臣の御見解をお示しください。
○伊吹国務大臣
教員養成については、もう藤村先生に申し上げるまでもなく、絶え間なくやっておるわけですね。
そして、今御指摘があった昨年七月の中教審の答申では、まずカリキュラムを改善していく、教職実践演習の必修化、それから教員養成を行う大学に対する、教える内容についての是正勧告、あるいは認定の取り消しの制度化等をしっかりやる。
何よりも大切なことは、これは先生が御努力もいただいておるわけですが、二十年度より教職大学院をつくるわけですから、ここでこれらが相まって、ひとつ教員の養成に手厚く対応していきたいということを考えておりますので、特に目新しく今回どうするというのではなくて、着実に不断の努力を重ねているという点の御理解をいただきたいと思います。
○藤村委員
ですから、今回の法律は、十年ごとの更新講習、修了認定、認定されなければ失効する。あるいは、現場の教員でない人も、今後免許を取る方は、教員免許というのは十年で有効期限があるから失効する。
私どもも実は、この考え方で、そこだけが違う点です。私どもは、免許を与えて、別に、現場で教員でない人が一生自分は免許を持っているという、これは誇りと自覚というんでしょうか、そういうものは、十年たったからそれで失効ですと言わなくてもいいんじゃないか。
必要なのは、現場の先生方にちゃんと十年ごとに更新講習が必要なんであって、今、現状でいいますと、いわゆる免許保有者は五百二、三十万人ぐらいです。現場で教員をしている人は百十万人程度ですから、残り四百万人超の人は別に何も、しかし、免許を持っていることがむしろ誇りと自覚といいますか、あるいは、親として子供を育てる、そういう立場でも自分は教員免許を持っているんだと言えますよね。
そういう意味では、わざわざ十年の有効期間を設けるというところが実は私どもの案と違う点でありますので、この点、どっちがいいのか御判断いただきたいと思います。
ただ、この更新制度導入の基本的な考え方が、中教審から示されている「教員として必要な資質能力は、本来的に時代の進展に応じて更新が図られるべき性格を有しており、教員免許制度を恒常的に変化する教員として必要な資質能力を担保する制度として、再構築することが必要である。」、この答申を踏まえて今回出されたのを確認だけさせていただきます。
○伊吹国務大臣
今、先生、これは確かに免許を持っていて十年現場にいる人を対象にしていますが、しかし、現職教員でなかった免状の所持者、いわゆる今のお言葉で言えばペーパーティーチャーについては、更新の講習を実行できないから有効期間が過ぎた時点で一たん免許が失効しても、新たに教職につくという場合に研修を受けられれば、そこで免許は復活するわけです。ですから、いつでも自分は教壇に立てるという誇りをお持ちいただけるということは、私は間違いないと思います。
ただ、これはやはり予算の問題その他もありますので、まず、やはり教壇に立って児童と向かい合っておられる方々の資質の向上というのか、十年ごとの新しい研修による能力維持をしていただきたい、そこは全く同じ考えでございます。
○藤村委員
今答弁されたので、例えば、今後の免許者が十年で失効します、それは、決して学校の教壇には立っていないけれども、塾の講師をしている、こういう場合、たくさんあると思うんですよね。その人は、わざわざ現場の教員になるんじゃないけれども、塾の講師の一つのステータスとして免許を持っているんですよ、でも十年たったらなくなりましたというのではちょっと困るんじゃないかなという現実的な問題を一つだけ提起しておきます。
次に、私さっきちょっと読み上げました中教審答申、「教員として必要な資質能力は、本来的に時代の進展に応じて更新が図られるべき」という、あと続きますが、ここの「教員として」というところを、例えば医療従事者の医師、医師について、医師として必要な資質能力は、本来的に時代の進展に応じて更新が図られるべきもの、こう読んだときに、これは厚生労働大臣に伺うんですが、至極当然だと思いますが、いかがでしょう。
○柳澤国務大臣
お医者様、これは我々の健康、生命に直接関連する職業でございまして、その能力、資質というのは我々の生活にとって重大な影響がある、これは申すまでもないわけです。したがいまして、安心した医療、それからまた国民から信頼される医療ということを考えたときには、まさに、時代の進展というか、日進月歩の医学的知見というものに常に通暁していなければならない。
そういう意味では、中教審の答申であるそうですけれども、教員以上に、常に自分の知見というものを一番今日的なものにしておかなければならない、そういう意味で自己研さんに努めていなければならない、そういう性質の職業であることは間違いないということでございます。
○藤村委員
今回の中教審答申は、確かに、教員免許更新制の導入ということでの基本的な考え方を示されたんですが、これは、私、非常に大きな範囲に今後及ぶ。今厚生労働大臣は、これを医師というふうに読みかえても、それは非常に重要なことだとおっしゃいましたので。
では、この医師の免許制度については、更新制度、時代の進展に応じて更新が図られるべきということで検討をされているんでしょうか。今後どうなるんでしょうか。
○柳澤国務大臣
私は、ただいまは、医師たる職業というもののある意味の条件を申し上げたわけでございます。
それでは、しからばすぐにそれが免許の更新制というところに結びついていくかといえば、それは必ずしもそうでないわけでございまして、先ほどの答弁でも申し上げましたように、お医者様というのは、常に自己研さんに努めている、あるいは情報の受け手として、常に一番最新の医療技術あるいは医薬の情報をしっかり受けとめていなければならない、そういうことでございます。
したがいまして、例えば、今の医療の世界でどういうことが行われておりますかといいますと、まず、最寄りの医師会では生涯教育制度というようなことで資質の向上に向けた取り組みが行われておりますし、また専門医の制度としては、各学会において更新の取り組みというものも行われているということで、いわば、それぞれの関連する団体が自発的にこうしたものを積極的に進めて、国民の期待にこたえられるような医療水準の維持というものに努力をしているということでございまして、それが直ちに医師免許制度の更新制の問題に結びついているわけではない。
もちろん、この更新制ということについて御意見があることはよく承知いたしておりますが、そういったことを考えるに当たっては、非常に多くの問題について、これをこなさなければならないということで、私といたしましては、先ほど来申しているような、今、自己研さんあるいは各先生方の属する団体による自主的な取り組みというもので、十分、今日的な、常に新しい知見の吸収に努めるという体制は維持できているものと考えております。
○藤村委員
私どもも、十年ごとの免許更新制度と言える十年講習修了認定という制度でありますが、このたび踏み切ったわけであります。
今、厚生労働大臣のお答えは、しかし医師については自己研さん、そしてそれぞれの団体による研修。それを言いかえますと、教員についても自己研さんあるいは地方教育委員会の研修とで、同じように言いかえられる。
となると、これはしかし、今回教員の免許制度更新に踏み切ったことは実は非常に大きな社会的な影響になるということを我々は少なくとも政治的に踏まえた上で、この制度を実施していくんだという覚悟がなければならないと思います。
教員も、この前の政府答弁を聞きましたときに、いわゆる国家資格というふうにおっしゃいました。国家資格と言われている中には、医療従事者で、今の医師や歯科医師や看護師や薬剤師や云々、それから弁護士、これも国家資格、あるいは隣接法律職では海事代理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士云々、あるいは会計では公認会計士、工業系では技術士、技能士、危険物取扱者等々。
ですから、これは内閣全般にわたる免許制度更新というものの本当にきっかけというか皮切りでありますから総理大臣に聞かないといけないんですが、この国会、この内閣で教員の免許制度更新を導入する、大変大きな一歩を踏み出すわけでありますから、その他国家資格とされるさまざまな免許制度の更新制度について今後どのようにお考えになるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣
確かに、資格といってもさまざまな資格があるわけでありまして、ただいま委員が御指摘になったように、いろいろな資格、国家資格も存在をするわけでありますが、各資格の性格に応じまして資格者の能力の維持向上のための措置がとられるべきものである、こう考えているわけであります。資格制度が適切に機能するためには資格者の質の確保が重要であることは言うまでもありませんが、今後も、社会経済情勢の変化等も踏まえて、資格者としての能力が担保されるための取り組みを進めてまいりたい、こう考えているところであります。
まずはこの法、まずは、我々は、教育再生という中にあって教員の免許更新制、おおむね国民の皆様からは御理解、御支持されている、このように理解をしているわけでありますが、子供たちの将来、未来に極めて大きな責任を有する先生方にまず免許制度を更新するということによって、さらに誇りと自信を持って教壇に立っていただきたい、このように思います。
〔小坂委員長代理退席、委員長着席〕
○藤村委員
一つ、さっき飛ばした質問がありまして、でもこれが最後の質問になろうと思いますが。
それにしては、今、教育再生につながるというふうにおっしゃった教員の免許更新制度が、しかし、それだけでは再生と言えるのかな。このたび出された法律案の提案理由説明で、免許制度のことの部分だけを読みますと、「学校教育の成否は教員の資質、能力に負うところが大きく、」なるほど、そのとおりだと思います。「このため、教員が、社会構造の急激な変化等に対応して、最新の知識、技能を身につけ、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られるようにする必要がある」。ただ、免許制度、十年更新だけで、教員が社会構造の急激な変化に云々してまさに自信と誇りを持ってというほど言えるのかな。
やはり、教員制度そのものを、これは安倍首相が時々おっしゃる戦後レジームからの脱却というわけですから、今までの教員制度のまさに養成の部分から見直す、考え直す、ここに手をつけないと、これが我々の法律でございますので、そこのところを我々の法律として今回提出し、政府と同様の十年講習修了認定という部分は確かに入れましたが、何より教員養成課程に手をつけないというか、入り口のところとさっき答弁者が言っておりましたが、これでないと教育の再生というほどのものではないんじゃないかと私は思うんですが、これは文部科学大臣、担当大臣からの答えになるかと思います。
○伊吹国務大臣
御提案は非常にいい御提案だと思います。野田筆頭理事から、私が文部科学委員会でどうもその方がいいなという顔をしていたという御質問をいただいたほど、なるほどいいなと一瞬そういう顔をしたのかもわからないんですが、率直に言うと、今のこの民主党さんの案だと、教員のローテーションというか、定年でやめていく人たち、それからその経費、先ほど御党の政審会長とお話をしたように、そういうものを総合的に考えながらフィージブルに動いていくかどうかということをやはり我々は考えなければいけないんですね。
御提案になっていることは、私は、それができれば一番結構なことだと思いますが、現実との間のバランスをとりながらやっていくということになると、一瞬いいことだなと思った顔がやはり曇ったというのが私の率直な感想でございます。
○藤村委員
私、きょう午前中の答弁でちょっとお答えしたとおり、昭和四十九年当時に人材確保法ができたわけですね。先ほども名前が出ておりました、当時、自民党の文教の中心のメンバーであった我々の先輩が、実はその当時、人材確保法というのと並行して教員の修士を考えたそうです。三十年以上前です。
その後のこの時代の、三十年を経ているわけですから、これは確かに現実性の部分でいろいろ詰めないといけませんが、お金もそれなりにかかってくるでしょうが、自民党の中で人材確保法と教員修士を考えられてから三十数年たっている、それをむしろ我々が、今回は野党から提出しているわけですから、本当に真剣にとらえ、考えていただくことを望みまして、終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
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