○稲田委員
おはようございます。自由民主党の稲田朋美でございます。
昨年十二月に、本当にもう六十年ぶりに教育基本法が改正されました。まさに、戦後教育の大転換期というべき教育基本法の改正であったと思います。
我が国は、昭和二十年に敗戦という未曾有の悲劇から、廃墟から立ち直って、高度経済期を経て経済大国になりました。今や日本は、世界で第二位の経済大国でございます。しかし、その豊かになった経済発展の中で忘れられてしまったものがあったのではないか。占領政策とそしてまた敗戦によって切り捨てられた、そういった日本人のよき伝統だとか日本人らしさですとか公の精神とか道徳心とか、そういったものをもう一度教育の中に取り戻す、日本の伝統や文化そしてまた歴史をとうとぶ、そういった心をもう一度取り戻すというのが私は今回の教育基本法の改正の大きな核であったと思います。
安倍総理が目指しておられる戦後レジームからの脱却に、まさに憲法改正そしてまた教育基本法の改正がありました。そういった意味からも、戦後レジームからの脱却の中核であるこの教育基本法の改正、教育再生は、日本の再生と同義であると思っております。
きょうは、四十分という時間をいただきまして、まず民主党案について中心的にお伺いをいたしたいと考えております。
民主党案の提出者に、まことに僣越な質問なんですけれども、私の本当に素朴な疑問をぶつけたいと思います。
資料一をお示しいたします。私も、教育基本法改正特別委員会の委員といたしまして、前国会そしてまた前々国会で審議に参加をいたしました。この資料一によりますと、衆議院で合計百四時間十分、参議院で合計八十六時間九分、衆参合計で百九十時間十九分という長時間の審議を経て、教育基本法は六十年ぶりに改正がされました。
民主党も、改正教育基本法案に対して対案として日本国教育基本法という、本当にすばらしい前文を書かれた、そういったものを提出されて、そして審議をいたしました。私も、前国会、前々国会のこの場の委員会で民主党の日本国教育基本法に対して質問もいたしました。そして、その結果、今回の教育基本法が改正されたわけでございます。言いかえますと、民主党が提出された日本国教育基本法案は、前回、前々回の国会の審議の結果成立することができなくて、そして今の教育基本法が改正されたという結論が出たわけです。
また、この委員会では、本当に六十年ぶりに改正された教育基本法の教育理念を学校現場に生かしていこうということで、教育三法を改正するという法案が政府から提出されて、審議をしているところでございます。ところが、民主党は、いわば成立もしていない、言いかえると、長時間の国会審議の中で一たん否定されてしまった日本国教育基本法というものをもう一度出されて、そしてまたそれを具体化する法案を三本も提出されているのですけれども、大変失礼な言い方ではございますが、そのこと自体が、ナンセンスというか、非生産的ではないかと私は思うわけです。
今回民主党が提出された日本国教育基本法と、前回、前々回で提出されていた日本国教育基本法、その内容を比べますと、私は、ほとんど異なっていない、一体どこが異なっているのか、その点も含めて、どうしてまた同じものを提出されるのかお伺いいたしたいと思います。
○藤村議員
稲田委員にお答えいたします。
今の質問の中で一つちょっと、言葉として、ナンセンスという言葉、これは、意味がない、ばかげている、こういうふうな訳になりまして、国会は言論の府であります、ここで審議をしようとするわけであります。それを冒頭からナンセンスと言われて審議をしろというのは、これはちょっと行き過ぎた言葉であると思います。私、学生運動、一九七〇年安保時代の人間でありまして、当時、大学と学生との議論で、学生の方からナンセンスという言葉が飛ぶと、そこから議論が進まないんですね。ですから、その言葉は私ちょっと気になったところであります。
今おっしゃったように、我々の法案は今の経過を経て、昨年衆議院においては、我々の計算でいうと百六時間二十七分、参考人あるいは中央公聴会、地方公聴会、それから法案審議と。法案審議は多分七十八時間二十三分ぐらいやっていますので、それなりにしっかりと審議をした結果として、民主主義の世界ですから、当然多数決によって改定教育基本法が成立したということは、我々も認めるところでございます。
ただ、今回の免許法とか学教法とか地教行法などについて我々の考え方を対案として示すに当たっては、やはりその基本法の部分からそれを前提としてくる部分が非常に多いわけですね。この対案を今回出していることで、この委員会審議もそれなりに活発な議論、我々に対しても質問をいただきながら、いいところもあるじゃないかというお声もあるわけですが、ただその対案の前提が、現行基本法の前提でいくと、やはりちょっと矛盾が生じます。
そういう意味では、今回いわゆる日本国教育基本法というものをもう一度出させていただいて、これは保利委員長の御配慮もありましてこの委員会に付託をいただいたというふうにも聞いておりますので、これは、議論の一つのきっかけとしては正しいやり方ではないか。我々の基本の考え方をまずお示ししておかないと、この三法が、一体どこからどういうふうにこの考え方が来るのかと言われたときに、やはりそれを引いてこないといけないと思います。
それから、具体の変更点につきまして、基本的に、昨年の衆議院で出したものを参議院で提出いたしました折に、衆議院での議論の中で我々も相当考えさせられた部分がありましたので、一つ、前文の四段落目の、「人材の育成」と書いていたものを参議院においては実は「人間の育成」に書きかえました。それから、一条に、これは衆議院で相当議論があったものですから、我々もやはりそれはきちっと入れた方がいいということで、第一条に「男女の平等を尊重し、」というのを加えて参議院で提出いたしました。
その案を今回衆議院で提出するに当たって、衆議院法制局のチェックの中で、ルビとか漢字あるいは平仮名の使い方などを変えたものを今回出しているというところでございます。
○稲田委員
お言葉なんですけれども、今回提出された附則の二条で「教育基本法は、廃止する。」というふうにあるんですが、私はやはり、前々国会、前国会と審議をした上で教育基本法が成立して、それをすぐに、それから参議院で少し訂正されたということですけれども、それ以降、補欠選挙で構成員は少し変わりましたけれども、衆議院も参議院も構成員がほとんど変わっていない中でもう一度同じものを提出されるということは、そして一たん成立した教育基本法を廃止するということを考えて法案を提出されるとすれば、あの教育基本法改正特別委員会の設置ですとか審議ですとか、また議決というのは一体何だったのかという疑問がわくわけでございます。
ようやく六十年ぶりに教育基本法が改正されたわけで、そして教育の憲法ともいうべき教育基本法がようやく六十年ぶりに成立をしたわけです。いわば、新たな教育の一歩を踏み出したと言えると思います。
私も、教育基本法の質疑の中でも、民主党と自民党と、協力していいものができればいいのにということで締めくくったことを覚えているんですけれども、だとするならば、さまざまな意見の違いがあって、審議をした上で、国会審議の結果成立した教育の憲法ともいうべき今の教育基本法をもとに、派生する他の法律について対案を出されて、そして真剣に議論をして審議をするというのが立法府に身を置く者の責任だし、それが議会制民主主義である、私はそのように思っております。
昨日の質問、審議の中で、川内委員と大臣の審議があって、私は、大臣の答弁を聞きながら、すばらしい大臣だと、こういった大臣のもとで六十年ぶりに教育基本法が改正されて三法が審議されているというのは、私は日本の将来にとって本当に感謝したい気持ちになったんです。というのは、パブリックコメントの質疑ですとかいろいろな質疑の中で大臣がおっしゃったのは、この場が、本当にこの場が、国民の意見を聞いて、私たちが本当に有権者の意見を選挙区で聞いて、ここで真剣に審議する場なんだ、こここそが国民の意見を最も反映するそういった場なんだということをおっしゃって、私は、本当にすばらしい大臣だなと心から思ったんですけれども。
そういった意味からも、私は、前国会で成立した教育基本法を基本として対案を出していただきたかったな、このようにまず疑問を申し述べた上で、大変失礼な言い方もあったかと思いますけれども、質問に入らせていただきます。
まず、今回の民主党案で大変不思議なことは、学校教育法に民主党の日本国教育基本法の前文の崇高な教育目標を具体化しようという改正案が出ていないところなんです。
この点は、私も改正教育基本法の審議の中でも質問をしていたんですけれども、なぜ前文に書かれていて本文にないのか。前文には法的拘束力がなくて本文にはあるのに、どうしてその前文の民主党の大変崇高な理念が本文に出てこないのか。そして、それがまた、せっかくすばらしい前文の理念を、学校教育法という学校現場に生かす法律の中に具体化する法律をどうしてつくっていらっしゃらないのか。その点についてまずお伺いいたしたいと思います。
○藤村議員
私どもも、日本国教育基本法に基づいて、それに関係するいわゆる教育関連の法律案というのは、今後順に見直していくという手続がやはり必要だと思っております。
今回、教育基本法というのは中心的理念を定めたもの、それから、その中でやはり一番大きな、それにつながる学校教育法という改正も当然我々は視野に入れて検討を開始したところでございます。ですから、当然、前文からつながる教育の目標というのは、今度はむしろ学校教育法にそれぞれ書き込むというのは私どもも賛成でありまして、例えば、小学校において心身の発達に応じて初等普通教育を施すという目的のもとに、この目的を実現するために目標をずっと定めていく。それは、我々の基本法の前文、お褒めをいただいておりますが、そこから連なるものであると考えております。
ただ、実は、学校教育法というのがやはり一番大きな教育の法律、具体的な法律でありますので、我々、それを変える、これは安倍総理もおっしゃる戦後レジームの転換というとらえ方で言ってもいいんですが、学校教育制度、つまり六・三・三・四という学制改革、このことも今や視野に入れて、まさに戦後レジームというものからの脱却を考えるならばそういう大改正が必要だと考えております。今回我々は、中教審などという巨大シンクタンクもない、政府もない、そういう中では、学制改革も視野に入れた制度改革を現在検討しているところでありますが、時間的には間に合わなかったというのが正直なところであります。
○稲田委員
民主党案の前文の、美しいものを美しいと感ずる心ですとか、日本を愛する心を涵養する、祖先を敬い、子孫に思いをいたす、伝統、文化、芸術をとうとぶというのは、本当にすばらしい、美しい文言でございまして、前総理である小泉総理も、なかなかいいというふうに褒めていらっしゃったと思います。また、そういった考え方は、実は、政府が提出した改正教育基本法の目標とも重なるものでございます。
そういった意味からしますと、今回政府が提出しております学校教育法の中に、教育の目標についていろいろと、改正教育基本法に基づいた、規範意識ですとか公共の精神ですとか、生命、自然を尊重する精神ですとか、伝統、文化を尊重するとか、そういった共通する目標を入れたわけですけれども、その改正については民主党も賛成である、このようにお伺いしてよろしいでしょうか。
○藤村議員
今回の政府提出の学教法の義務教育の目標ということで、改定教育基本法の二条から連なるものというとらえ方でこのように書かれていることは十分理解できます。
ただ、私自身は、一読して本当に、違和感を感じない、いいことばかりが書いてあるということはそのとおりでありますが、(一)から(三)で、語尾が、「態度を養う」という言葉がそれぞれ四カ所ぐらい出てくるんですね。この「態度を養う」というのは、昨年種々議論があったように、本当に態度を養うでいいんだろうかということはやはり熟考すべき問題だと思いますし、我々は、先ほど申しましたように、私どもの前文から連なる、それぞれの学校種によってつくるかあるいは義務教育を一くくりにするかなど、今後の検討課題である、こういうことでございます。
○稲田委員
その点については、まさに共通の認識でございます。
次に、教育予算のことについてお伺いをいたしたいと思います。
民主党は、教育予算を拡充せよということをおっしゃっておられまして、そして、公教育の財政支出はGDP比率で先進国最低だ、そのことが原因で公立学校の教育力が低下していて教育の格差が生まれている、このようにおっしゃるわけでございますけれども、私は、教育というのはお金をかければいいというものでもないと思うわけです。
今回の教育基本法の改正は、戦後六十年の経済発展の中で失われてきたものを取り戻すということで、いわば拝金主義の対極にあるような、そういう考え方でございます。また、歴史を考えましても、吉田松陰の松下村塾でも、そして適塾でも私塾なわけで、私塾なんというのは全然お金もかからないわけで、お金をかければ教育がよくなるというのは、私はちょっと違和感を覚えるわけでございます。
GDP比で教育予算を考えるということなんですけれども、社会保障とか、何でもそうなんですが、GDP比ですべてを考えるという考え方についても、私は大変違和感を感じるわけです。大体、日本はGDPが大きいんです。また、小さな政府なんです。小さな政府の中で、小さな政府か大きな政府かということも無視してGDP比で教育予算を考えたりするということについては、私はいかがなものかと思います。
また、GDPということを言うのであれば、日本はGDP比で一四九%もの債務を抱えている債務大国、先進国で、追随を許さないような債務大国でございます。こういったことを全く無視して、GDP比で議論するのはいかがなものかと思います。
もちろん、教育再生について、予算をつぎ込むということは、それが重要なことは私もわかっているんですけれども、それは将来の我が国を担っていく子供たちをどう育てるか、子供たちのためにということであるとすれば、将来の子供たちに債務のツケを回すということもやはり考えないといけないということを私は思います。
そういう意味で、民主党提案者にまずお伺いいたしますけれども、GDP比で教育予算を考えるということの意味、それをお伺いいたします。
○藤村議員
昨年の五月二十六日にも稲田委員から今の趣旨と同じような質問をいただいて、そのとき稲田委員はやはり、でも教育にはお金をかけないといけないということはしっかりとおっしゃっていただいて、非常に賛同するところでございます。
非常に身近なことでいえば、一家の家庭の家計がいいところはやはり教育にもお金をかけて、いい教育がある程度受けられという、これはよく言われる話であります。それと同様に、国のGDP、国内総生産というもの、それをなし遂げているのは人であります。企業は人なりというとおりでもあります。そういう意味で、その人が、きょうまでいい教育を受けられたことによって人が発展し、そしてまさにGDPを伸ばしてきたというのも事実でございますから、人に、教育にお金をかけるということとGDPとは、やはり十分に関連があると思います。
また、我々は基本法十九条二項において、「国内総生産に対する教育に関する国の財政支出の比率を指標として、教育に関する国の予算の確保及び充実の目標が盛り込まれるものとする。」としておりますのは、つまり、指標が必要ではないか。今、指標というのは、ことし幾ら、何%ということよりはむしろ、十年前こうであった、経済がこれだけ大きくなってきた、でもちゃんと教育費もそれに伴って比率は変わっていないというのは、ふやしてきたということになりますよね。
これはつまり、一つは時間軸で比較ができるということ。もう一つは空間軸で、先進諸国はどうなのかというときに、OECD平均がGDPで今四・七%ぐらいと言われております。日本は今三・一%だと。さっき経済大国のことをおっしゃいましたが、アメリカでいうと五%ですから、やはり日本は当面アメリカに何とか追いつきたいという、その指標として必要ではないか。日本は今三・一%であります。
ですから、これはあくまで指標という考え方であって、ではこれをどのぐらいにするのか、これは、今おっしゃったような財政の問題も十分に勘案しながら、国会での御意見を聞いて検討することが必要であると思います。
(中略)
○西村(智)委員
政府側の答弁を今伺いました。九年目、十年目で土日などの時間をやりくって研修制度を受けてくれということなんだそうでありますけれども、先ほど大臣、その着席の席から、民主党の方が負担になる案じゃないかというような発言がちらっと耳に入りました。民主党のこの研修制度に対する考え方、それについて、一体本当にどういう考え方でこの民主党の提案をされたのか、その点について一点伺えればと思います。
○藤村議員
法定の研修で、先ほど御説明あったように、いわゆる教育公務員の場合には、初任者研修とそれから十年研修というのが法定研修であります。十年研修については、さっきの説明のとおり、それなりのしっかりした研修が行われているということ。
そこで、我々は、この十年法定研修を、まさに十年ですから、教員に、教諭として正式になって十年目に研修を行うのが十年研修で、ちょうどその時期に、我々は、研修をしっかりと、国が内容的にも定め、そしてその修了認定をするという形で、政府の提出している三十時間の更新研修と仕組みとしては似ております。
ただ、時期として、さっき局長言っているとおり、実は、今回の政府の免許法による更新研修というのは、教員になって三年目の人あるいは四年目の人、五年目、非常にばあっとあります。我々の方は、あくまで教員になって十年でまさにリニューアルをしていただく。次は二十年があります、もちろん。
かつ、内容的に、まず三十時間を、まさに十年間の大きな進展に基づく一般的な教養、これは合同で、つまりどこかで集まってきちっと、大学等も利用するということですが、残り七十時間については、うち四十時間を教科研修、これは、いわゆる今のIT社会ですから、Eラーンという、まさにITを利用して自宅ででもできるようにしたい。それから、さらに三十時間について、実際の模擬演習ということで、これはやはり実際の現場で研修していただくというわけです。
トータル百時間を想定している中では、今の十年講習というものとほぼ一緒かあるいはそれより少ない、特にEラーンを利用すれば出っ張っていく時間はうんと少なくなるのではないかな。我々は負担をそれ以上にふやすということではないということは御理解いただけると思います。
○西村(智)委員
負担を今以上にふやすということではない、明快な御答弁をいただきました。
大臣、やはり、今ある研修制度をこのように活用することによって、形骸化されてきたと言われる研修制度、これはもっと充実を図っていくことが可能なのではないかと思うのです。その方が先決ではないかというふうに考えますが、その点についてどうお考えなのかということ。
いずれにいたしましても、研修制度というのは、やはり学校がよくなって、そして教員や保護者、そしてまた地域の皆さんが協力をしていくという中で実現されるということであれば、これはもう本当に一緒に協力をしていきたいという思いだろうと思うんですね。ぜひ、多くの方々の、国民の、特に現場の納得が得られるような形でこの教員免許更新制そしてまた研修制度というのは具体化を進めていくべきだろうというふうに考えるんですけれども、この点についての見解を伺います。
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